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「外出許可申請書」なるもの
ある朝。
エマは小さな紙束を見て固まった。
「……何これ」
「外出許可申請書だ」
「聞いたことない単語きた」
リュカは真顔で説明する。
「塔の外に出るときは、これに記入して俺に出せ」
「いやいやいや、自由権どこいった!」
「危険が多い」
「昨日まで普通に一緒に出てたよね!?」
紙には細かく項目が並んでいる。
◇目的 ◇同行者 ◇帰還予定時刻 ◇危険想定 ◇緊急連絡方法
「あと『帰ってこない場合の強制回収方法』って何」
「最優先事項だ」
「サラッと言うな!」
しかし、リュカの視線が不安そうに揺れているのを見て、エマはため息をつく。
「……はいはい、じゃあ今日の分だけ書きます」
「毎日書け」




