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買い物は手錠付き?
塔へ戻る道すがら、エマはそっと口を開いた。
「さっき、ちょっと怖かったですよ?」
「何がだ」
「店員さんへの目が……」
リュカは少し考え、当たり前のように言う。
「俺のものに手を伸ばそうとしたから、折ろうとしただけだ」
「物騒な表現やめて!? ていうか私は物じゃない!」
「そうだな。もっと大事だ」
即答されて、うまく怒れない。
リュカは懐から細い鎖のようなものを取り出した。
「な、なにそれ」
「魔力同調用の腕輪だ。つけろ」
「え、ちょっとデザインかわいい……」
ごく自然に腕につけられ、ぱちん、と音がした瞬間。
エマの手首には薄い魔法陣が浮かび、すぐに消える。
「これで、どこにいてもおまえの状態がわかる」
「……言い方を変えれば、常時位置情報オンですよね?」




