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転生特典に当選しました

恵麻は、四十歳にして今日も終電帰りだった。書類の山、鳴りやまない電話、口だけ達者な若手たち。

「リア充爆発しろ……っていうか、会社ごと爆発してくれないかな……」

そんな呪詛を吐きながら、家に帰ればひとりきり。小さなワンルーム、ぺしゃんこの枕。スマホだけが眩しく光っている。

最近の慰めは、ネット小説の「ヤンデレ」タグを漁ること。

「いいなあ……病むほど愛されるって、どんな気分なんだろ……」

布団をかぶり、スマホを抱きしめたまま、恵麻は小さく叫んだ。

「ああ! 私も壊れちゃうくらいに愛されたい!!」

徹夜で読み漁り、寝不足のまま

ふらふらと会社へ向かっていると…


横から飛び出してきたトラックに盛大にはねられた。

鳴り響くクラクションが、彼女の人生のエンディング曲になった。


次に目を開けたとき、そこは白く霞んだ、広すぎる空間だった。

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