手紙2
僕は帰宅した。僕の家は何の変哲もない一軒家だ。夕食を食べて、風呂に入り、パジャマに着替えると、脱ぎ捨てたパンツやカッターシャツとハンカチを洗濯機に放り込んだ。制服をもって僕は二階に上がり、自室に入った。制服を壁にかかったハンガーにかけると、ポケットから手紙を抜き取って僕はベッドに寝転んだ。ベッド上に置いてあったスマホを見る。龍斗からメッセージが来ていた。
【明日、暇か?俺の家で一緒に夏休みの宿題をしてぇんだが】
僕は少しの間考えて返信した。
【いいよ。龍斗んちね。昼ぐらいに行くわ】
僕はスマホを投げ出し、ベッドに仰向けになった。そして起き上がると、手紙の封を破って折りたたまれた一枚の手紙を開き、読んだ。手紙はシンプルなもので横の罫線に沿ってずらずらと書かれていた。
「隆ちゃん、元気にしてる?今年の夏は本当に暑いね。外にちょっと出ただけですぐに汗みどろになっちゃうもの。隆ちゃんはちゃんと水分摂ってる?塩分も摂ってる?熱中症にならないように気を付けてね。そうそう、せっかく前の手紙でプール誘ったのに全然来なかったの、あれ何?体調悪かったのかな?無視してたんなら私悲しい。隆ちゃんにだけは嫌われたくないのに。でも嫌われているのなら仕方ないのかな?私、何かしたっけ?全く覚えてないな。隆ちゃん、教えてよ。隆ちゃんが私を嫌っている理由。どうせ教えてくれないんでしょう。隆ちゃん、意地悪なところあるし。あ、こんな話をしたいんじゃなかった。隆ちゃん、夏休み明けのテストに向けて私と一緒に勉強しない?もちろん夏休みの宿題もこなしつつだけど。場所は図書館。日時は隆ちゃんが決めていいよ。日時を書いた紙を私の家に送ってもらえたら、それだけでいいから。お願い、隆ちゃん。私、一緒に勉強したい。夏休み明けのテストが心配で心配でたまらないの。だから、お願い、絶対送ってね!」
僕はびりびりに破り、ベッド近くの屑籠に捨てた。
僕はまた仰向けになった。そういえば、どうやって天崎は僕が呼び出しを食らうことがわかったのだろうか。僕の下駄箱に手紙を入れるよりかは、僕の家に届けてもよさそうなのに。僕は考えるのが面倒臭くなった。僕はとろとろとまどろみ、いつしかすやすやと眠ってしまっていた。