夏
高校二年生になった僕はアスファルトのだらだら坂を上っていた。暑い。汗がだらだらと噴き出る。丘の上にある高校までまだ歩かなくちゃならない。しんどい。僕はため息をついた。「はあ」。今の時期は夏休みだ。なぜ僕が夏休みに高校へ行かなくちゃならないかを考える。だが太陽の日差しを受けてアスファルトから照り返しと熱気でもうもうと立ち込めているせいで、うまく頭が回らない。喉がからからになっていた。水分はいつ摂ったんだっけなと考える。でも、やっぱり頭が回らない。僕は立ち止まる。制服のポケットからハンカチを取り出し、額についた汗を拭きとる。「ふう」。僕は深呼吸をした。僕はハンカチを元の場所にしまった。そして周りの景色を見る。瓦屋根を葺いた一軒家が所せましとぎっしりと並んでいる。田舎ならではの光景だ。僕は「よしっ」と言って歩を進めようとした。
すると、僕は道の真ん中に転がっていた石につまずいて、すっころんだ。「いてて」と僕は額を押さえた。血は出ていないようだ。僕はほっと安堵した。よっこらせと立ち上がると、僕はまた歩きだした。
僕はしばらくのあいだ歩いた。どれくらい歩いたかわからない。ふと見上げると、高校の校舎がちらりと見えた。僕は嬉しくなった。なんだかこの暑い中で歩いた努力が報われているような気がしたからだ。僕はいそいそと前に進んだ。