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まるで生まれ変わり  作者: 用心深史
第一章
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第三話 不穏

不穏です。

 家を出て5分、バス停の前で立ち止まる。避難所となっている高校まで行くには徒歩だと30分以上かかるから歩きは避けたかった。しかし日曜日だからかバスの本数は少なく、今から待ってもバスが来るまで40分かかる。三ツ谷の住んでいる市は過疎地域ではないはずだが、田舎の、まして街のハズレともなればこんなものだ。


 仕方なく歩いていく。リュックには色々なものがパンパンに詰まっていて、歩くたびに着ているフリースと擦れて音を立てる。ふと空を見上げると曇り一つない空が視界いっぱいに広がる。このような綺麗な空を見たのはいつぶりだろうか。最近は外に遊びにいく機会も減ってスマホかゲームか勉強ばかりだ。


その時、低い音を出しながら空を飛んでいくヘリコプターを見た。緑と黒の迷彩の報道用のものではない、自衛隊のヘリ。街の北から南へとまっすぐ向かっていく。災害が起きたのなら自衛隊の出動も珍しくないが、様子が違っていた。5機のヘリコプターの中に機関銃やミサイルを積んだ戦闘用のヘリが混じっている。ここから南で何か起こったのかと思いながら足を早める。どうしようもなく胸騒ぎがした。


 ようやく避難所に辿り着いた。そこではひっきりなしに人が出入りしていて警察官もいるようだった。人を見回していると見知った顔に気づく。


「久しぶりじゃん。元気してた?」


 小学校で友達だった三木が話しかけてきた。家族ぐるみで仲が良かったので高校に進学しても時折連絡をとっていた。


「元気だよ。お前は?」


「ゴリゴリに元気」


気の抜けた返事に思わず笑ってしまう。


「それはそうと、何かおかしくないか?」


「何が?」


「だって感染症対策に避難所を開設するか?普通は外出を自粛とかじゃないのか?」


「お前知らないのか?」


意外そうな目で見られる。


「snsを見てみろよ。東京の方ではやばい状況らしいぜ。」


 そう言って三木が差し出してきたスマホの画面を見る。動画が再生されると、大きな施設のような場所でパトカーが入り口から離れた場所で道を封鎖している様子が目に入る。その空港側には盾を持った機動隊員が通行できないように一列に並んでいた。撮影していたのは野次馬だろうか。


「これどこ?」


「羽田空港」


 そう話していると突然空港内から男が飛び出してくる。遠目で顔まではよくわからないが、必死さが伝わってくる。警察官を見つけて走り出そうとした直後、その人の後ろから次々に様子のおかしい人々が現れた。その群衆は走っている男を見つけた途端狂ったように走り出した。パトカーから拡声器を持った警察官が制止するよう呼びかけるが、聞こえてないようにその男と群衆は走り寄ってくる。


 そして突然男が転んだ。その背中に向かって群衆が群がっていく。しばらくそうしていたが突然その中の1人がこちらに目を向けた。新たな獲物を見つけたかのようにこちらに向けて突進してくる。その姿はまるで人ではなく何かの獣のようだった。そして、その口元には真っ赤な何かがこびりついていた。


 そこで動画は終わっていた。


「おいおいおい、なんだこれ?映画?」



「ちげーよ。紛れもなく現実。こんな感じの動画が大量にある。」


「でもこれが感染症となんの関係があるんだ?」


「ゾンビだよ、ゾンビ」


「は?」


「だから、感染症にかかった人が暴徒になってるってこと」


「そんなバカな」


 それから少し話をした後、三木は家族のもとへ戻ると言って去っていった。






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