表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/39

マランドロとは

 さて。

 マランドロのイズムを宿したふたり。いや、俺を含めた三人の男性ダンサーは、日常もマランドロを意識した生活を送ることになる。



 俺の目的はサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』、通称『ソルエス』のパフォーマンスで、マランドロを中心としたマランドロショーを実施することだ。



 俺が先代から引き継ぎ代表を務める『ソルエス』は、商店街が発祥の趣味のサークルではあるが、創立時に日系ブラジル人の教えを受けた本格サンバを標榜する『エスコーラ』だ。

 エスコーラとは、要はサンバチームを表すポルトガル語だが、サンバの様式を満たしているチームが名乗る場合が多い。


『ソルエス』は、決して規模の大きいエスコーラではないが、本格サンバを名乗るにふさわしい実力を備えたダンサーや楽器奏者を有している。

 マランドロの拡充は、本格サンバたるパフォーマンスの、幅を押し広げることだろう。

 だが、それだけではない。



 東風治樹(こちはるき)として、前院長から#東風__こち__#クリニックを受け継いだ二代目院長である俺。

 マランドロ・ハルとして、先代代表から『ソルエス』を引き継いだ二代目代表である俺。

 思うところがないわけではないが、それぞれ初代を意識しすぎることはなく、自然体でやっているつもりではある。


 それでも、どうしても何かの折に先代の影がチラつくことはある。先代だったならばと思うことはある。

 初代ではないことも、二代目であることも、変えることのできない事実だ。

 ならば俺は、受け継いだ偉大なものを、より雄大に、悠久に続いていくエスコーラにしていこう。



 マランドロの拡充は、単にパフォーマンスのバリエーションが増えるだけではない。

 マランドロの理念を携えた者がエスコーラに居ることでもたらされる精神性を、俺は大事にしたいと思っている。

 それは、エスコーラの軸に、パシスタを護り救け、弱者を擁護し、且つ生き様を魅せる在り様を通すことに繋がる。


 基礎は強く広大であるほどに、その上には大きな構造物が建てられるのだ。

『ソルエス』をより雄大に拡げようとするなら、必要なことだと思えた。


 それは、技術を習得する練習で身につけるものではない。

 日々の生活のなかで、そう在らんと意識をし続けることで自ずと成るものなのだ。


 さあ、心に灯そう。マランドロの火を。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ