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電話

「で、商業施設として高天主事が担当していたことを知って、こっちに振ってきたんです。猿渡主任がオーナーに話を聞きに行ったところ、建て替えてマンションにしたいとか」


「またマンションか。デベにいた俺が言えた義理はないけど、その地域のかつての住人としての立場からすると、マンションばかり増えて、店舗やテナントが減るのは感情で言えば寂しく、利得で言えば利便性が減るからあまり歓迎する気持ちにはならないな。それで、問題は?」


「立て替えたいってくらいですから、実際もう古い建物で、テナントもあまり定着しないみたいで、オーナーの気持ちはわかるんです。ただ、そんな物件でも立退に応じてくれない店子がいるようで」


 確か中華料理屋、美容室、託児所、バー、フィットネスクラブが入ってたはずだ。


「一階の中華料理屋はかなり前に撤退してました。一階がいつまでも空き店舗だったってことも、オーナーとしては建て替えに気持ちが動いた理由になっていると思います」


 八木さんの話では、託児所が立ち退きに難色を示しているようだ。

 あまり印象にない店子だが、クセのある人物だっただろうか?


「立ち退きの材料探しで、契約内容や家賃の支払い状況などを私が調べることになったんですけど、何回か支払いが少し遅れたことはあるにはありましたが、悪質な店子とまでは言えませんし、借地借家法で守られている店子を強制的に立ち退きを迫る『正当な事由』はありませんでした」


「店子の意図がどこにあるか、だよな。立退料の値上げか......?」


「それが、はっきりとした主張や要望はないんですよね......」


「同等の場所で事業再開できる程度の立退料の提示はしてるんだろうから、あの場所でしかない何かがないのなら、金銭以外で立ち退きを拒む理由は思いつかないが」


「近いうち猿渡主任が店子と面談しようと調整してますので、直接会って話せれば何かわかるかもしれません」


「まあまずはそこからだよな」


「猿渡主任、少し不安そうで。

高天主事からあらかじめ考えられる店子の主張しそうなことや交渉のアドバイスとか、相談に乗ってあげられたりはしないですな?

筋が違うのは重々承知してます。もしできればで」


「別に構わないよ。なんなら同行しようか? 猿渡が嫌がらなければだけど。

もちろん、猿渡にも意地もあるだろうし経験、成長の機会を奪うわけにはいかないから、あくまでもバックアップ且つサポートとしてだけど」


 更に言えば、会社としては部外者が業務に帯同することを良しとはしないだろう。

 やるならば秘密裏にだ。

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