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差し出したモノ
――微かな灯のように燈していた些細な夢は、諦めた。
――人生を預けるに値していた天職は、捨てた。
――身命を賭してでも守りたかった家族は、失った。
――我が身に宿っていた熱情は、消えた。
手持ちの札をかき集めてみたところで、そこに描かれているものには、価値のある名前はついていない。
手放したものを。
失くしたものを。
数えることになんの意味もない。
振り返ってもそこには何もない。
過去などは記憶の中だけにある幻。
縋るつもりも、耽るつもりも、無い。
そんな執着心の残滓すら、身の裡には残ってなどいないのだから。
だというのに。
もう、渡せるものなどないというのに。
これ以上何を求めるのだろう。
何を手放せば許されるのだろう。何を――




