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羽龍の解決策とマランドロ論

 他の社員の報告も含め、ミーティングで得た情報を頭で整理しながらも、早々に身体は打合せ先へと向かわせる。


 書上さんから報告にあった件は、民間からの働きかけをバックアップとして用意しても良いかもしれない。



 今日ちょうど地域の活性化施策のひとつとして、『ソルエス』も出演する商店街主催の『サンスターまつり』の広報を、少しエリアは離れるが同じ市内を通っているローカル鉄道とのコラボ企画を提案している広告代理店と、市政側のコンサル会社としての立場で打ち合わせがある。

 この広告会社は同じ『ソルエス』のメンバーであるジアンが勤めている会社だ。

 ジアンはアキの弟のミカの彼女でもあり、『ソルエス』では、ペアでチームの大事な旗である『バンデイラ』を持って踊る重要なポジションを担っていた。


 この企画自体は『サンスターまつり』に照準を絞った短髪のものだが、広告代理店『リアライズ』代表の新町(しんまち)は、これを機に近年人口増加に伴う勢いと、知名度の上がったこの市への資源の投下を前向きに検討していると言う話があった。



『リアライズ』は、広報の効果で市外からの来客を見込むに当たり、特に夜の部の『ソルエス』にによる劇場で行われるショーに向けての予約システムを市の行事のページに構築し、同時に顧客分析やフィードバックができる機能を設ける構想があった。

 ローカル鉄道会社と組んで実施する広報戦略による集客企画と、管理のシステムをパッケージ化した連携企画を、『リアライズ』から市へと提案する格好だ。

 そのシステム構築を『グランドデジネス』が請負う。今日の打合せ次第では、うちからふたり程度出向させることになりそうだと考えていた。


 案件の内容的に創業メンバーである日下と火上が適任か。

 開発、営業共に主力となる人材がしばらく抜かれてしまうのは痛手だが、この機に『リアライズ』としっかりアライアンスを組み、市政に於ける次の一手に繋げられないかと言う思惑があった。

 広告代理店は媒体を直接抑えることができる。

 市のコンサルとして今現在市が持っている課題を解決する施策を提案する。とは言え市が制度や行政サービスを整える動きをとるかは良くて半々か。動くとしても、一朝一夕に形になることはない。

 同時進行で民間のサービスとの連携を進める。

 その取り組みを、市の施策の一つとして広報に乗せながら、連動するシステムを市の管理しているページに繋げ、実際に市の機能の一部として見せ印象操作をしつつ、ユーザビリティを向上させるプラットホーム化ができれば良いなと思っていた。

 これで市民が市へと向ける目下の不満も反らせるのではないだろうか。

 収束しかけている案件から、新たに息の長くなりそうな案件が生まれることは、『グランドデジネス』にとっても喜ばしい。



 このように、移動や食事などの時間は常に業務のことが頭の中を占めていた。

 頭も身体もフルで使って成果を上げることを第一義とするような生き方はマランドロらしいだろうか?


 仕事人間やエコノミックアニマル的な生き方と見做せば、あまりマランドロっぽくはないかもしれない。

 見方を変えれば、己が使命に殉ずるが如く、命を燃やし能力の限りを尽くし邁進する様は、現代社会に於いて、生きるための強さを身に着けたマランドロと言えるのではないだろうか。


 その使命を全うするに当たり、仕事に追われるのではなく、優雅さを絶やさないようにできればそれはマランドロの生き様にふさわしいように思えた。


 せっかくの機会だ。いくつか予定されている今日の打ち合わせは、そのあたりを意識してみようか。


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