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時間の使い方


 さて。仕事を辞めた俺はサンバの練習以外の時間は暇である。

 計画を立てたあの日。まだ小学生だったあの日から、目的に向けてほぼ休みなく走り続けた日々だった。

 人生にとっての少し長い休暇と思い、やりたいことをやろうと思っていたのだが、いざ目の前に時間が与えられると、どうも持て余してしまう。



 故郷に対し歪んだ想いを持ちながら育った俺は、学生時代はあまりこの街では過ごさなかった。

 改めて、自分の故郷を識ろうと無目的に街を巡ったりもしているが、平日の昼間にあまりにも頻繁にうろうろとしていてはいらぬ誤解を生みそうだ。


 観たいと思っていた映画、読もうと思っていた本なども無限にあるわけではない。

 行きたいと思っていた場所にはどこにも行けてはいないが、旅行となるとどうも腰が重い。

 どうやら俺は、仕事以外では誰かに引っ張ってもらわないと動かないタイプのようだ。

 そう言えば以前別れた恋人からも、そのようなことを言われたのではなかったか。

 これでは定年後早々にボケてしまう仕事人間のようではないか。自らの情けない部分をまたひとつ見つけてしまった。


 ハルの言う、マランドロたろうとするならば、どうしたものだろうか。

 よくわからん。

 とりあえず『ソルエス』の練習以外でも、ワークショップを開催している男性ダンサーは意外と多く、片っ端から予約を入れてみた。


 これでは目的地が変わっただけで、目的地にたどり着くために走り続ける生き方に変わりはないな、と思う。

 結局のところ、真面目と言えば良いのか、遊びが少ないということなのか。

 それが俺の生き方に合っているのなら、それも悪くないか。


 今回据えた目的は、きっと俺にとって善いものであると思えた。それなら、改めて走り抜けるのも良いだろう。


 

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