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3.用心棒が弱すぎる。

 翌日ウラデマチは昨日火事になったミネアの宿屋が新築同様になっていた事に怒り心頭になり地団駄を踏んでいた。


「何なんだアレは! 灰になるどころか新築ではないか!!」


「落ち着いてくださいよウラデマチ様。」


「これが落ち着いていられるか! 建壊しの手間が省けると思っておったのに!!」


「ですがあの娘の借金がある事には変わりありませんから。」


「そ、そうだったな。」


「ふむ、あの様な事を宿屋の娘に出来る訳がありませんしあちらも我々に対して用心棒でも雇ったのでしょう。」


「何故そう思う?」


「あの火事は我々に対する当て付けでしょう、更に新築にする事で動揺を誘っているのでしょう。」


「そう言う事か、小癪な真似をしてくれる!」


「ご安心ください、この私【イチゲキ・デ・シズメール】が相手の用心棒の息の根を止めて差し上げましょう。」


 ウラデマチと対話するスキンヘッドでタンクトップを身に着けた筋肉質の大男イチゲキ・デ・シズメールは自信満々に語る。


「そうだな、お前が負けるはずが無いからな。」


「では、行きましょう久々にジワジワと嬲り殺せると思うとワクワクしますよ!」


 俺は宿屋のカウンターの前でウラデマチと用心棒がドアを開けるのを待っていた。


「そろそろ来る頃かな?」


「お願いですから危なくなったら私の事は気にせず逃げてくださいね?」


「はいはい。」


 その時、バンと宿屋のドアが開き二人組の人物が中に入って来た。


「嬢ちゃん、もうこれ以上は待ってられないな大人しく50万ガルド返済してもらおうか? さもなくば」


 スキンヘッドの大男が前に出ると睨みを効かせ拳をポキポキと鳴らす。


「痛い目に合いたくは無いだろう? だが私も鬼ではない、この土地を25万ガルドで買ってやろう、残りは身体で支払ってもら……痛っ! 貴様何をする!!」


「50万ガルドだ、これで借金は無しだろ?」


「あ? 何を言ってる?」


 俺は自分の荷物の中から50万ガルド入った袋をウラデマチの顔面に投げてぶつける。


「確認しろよ、俺が建て替えてやると言っているんだ。」


「ぬぅ……。」


 渋々ウラデマチは袋の中を確認し50万ガルド入っている事に驚くが屁理屈を捏ねる。


「確かに50万ガルド入ってはいるな、だが建て替えは行っておらんのだよ。 悪いがこれは返そう、これ以上関わらなければ命の保証くらいはしてやらんでもないぞ?」


「ウラデマチ様の言う通りだ、逆らうならワイバーンを指一本で倒せる俺が相手をしよう。」


「何だって!? 俺が息を吹きかけただけで首の骨が折れるワイバーンを指一本で!?」


「ば、馬鹿にしてるのか貴様!!」


「いやまさか、馬鹿にはしてないコケにはしてる。」


「同じ意味だろうが! もういい殺す! 殺してやる!! 貴様なんぞ指一本で十分だ!!」


「なら俺も指一本で殺るかな。」


「減らず口を、死ねえ!!」


 イチゲキの指が俺の肩に触れるがポキリと折れ、今まで何人もの人達を嬲り殺してきたのを知り俺は指をイチゲキの身体に何回も突いたり抜いたりすると恐怖に引き攣った表情になり命乞いをしてきた。


「うわああああ! や、止めてくれええええ!! 死にたくない! 血がいっぱい出てる!! 頼む助けてくれなんでもするから!!」


「お前、そう言ってきた奴ら快楽の為に命を奪って来たんだろ? 俺が許す訳無いだろ、良かったな気持ちが知れてサヨナラだ。」


「ゲブっ!?」


(な、何だこいつ化け物か!? 今の内に逃げないと。)


「おい、オッサン忘れ物だぞ?」


 俺は返された袋から1ガルドをウラデマチに親指で弾き頬を掠めさせ血を流させる。


「い、いやいや流石にお強いどうだ? そいつの代わりに私の用心棒にならんかね? 不自由はさせんぞ、それに借金もチャラにしようではないか。」


「遠慮すんなよ、折角来てくれたんだ50万ガルド返済してやるよ。」


「うぎゃああああああああああああああああ!!」


 俺は袋から残りの49万ガルドをウラデマチへと弾きまくり無くなる頃にはウラデマチの血肉は宿屋の床に広がり骨だけの姿へと変貌を遂げる。


「釣りは要らねえよ、地獄の沙汰も金次第て言うし持ってきな。」


「きゃあああああああああ!! 宿屋が曰く付きにいいいい!!」


「安心しろよ、ちゃんと聖水も持ってるし清めさえすれば化けては出て来ないだろ。」


 聖水と塩をふんだんに振りかけて手足を切断した死体を袋に詰めるとゴミとして出して来た。


「ふう、いっちょ上がりだな。」


「か、完全に殺人現場じゃない!? 何で笑っていられるの!?」


「さっきも言ったろサイコパスだって。」


「そんな事……言ってたわね……。」


 そんなやりとりをしていると2階から足音が聴こえ姫様が降りてくると此処が何処なのか訪ねる。


「あの、すみません此処は何処なのでしょうか?」


「近くの街の宿屋だな、兵士もそろそろ蘇生しきった頃だろうし今俺のタイラントオーガとフェニックスがこの街まで案内してるから安心しな。」


「そうなのですか? 俄には信じられませんがあの盗賊達はかなりの手練で兵士の方々が手も足も出ない相手ですよ?」


「盗賊ってそんな強いか? 物盗んで踏ん反り返ってる奴等ばかりの筈だがな。」


「わたくしは世間には疎いのでそれが普通かどうかは判断しかねます。」


「そっか、それもそうか。 けど此処まで辿り着くまでは三日間くらいかかるからまだ泊まらせてもらうけど良いか?」


「それは構わないけど。」


「けど何だ?」


 ミネアは血のべっとり着いた床を指差し綺麗に拭く様に銘じる。


「この床の汚れを綺麗にしてくださいよね?」


「あのこの汚れは?」


「ああさっき俺がころ……むぐ!」


「ころ?」


「さっきねこの人、お客さんの足を引っ掛けちゃってその時にね盛大にケチャップが床に飛び散っちゃったのよ!」


「ぶはっ! わ、わざとじゃないぞ?」


(何考えてんのよあんた! 何処かのお姫様に対して殺人宣言しようとかどう考えても頭おかしいでしょ!!)


「わ、悪い……ちゃんと拭いとくから泊めさせてくれ。」


「ちゃんと拭いたらね。」


 俺は床を拭き終わると姫様の兵士が到着するまで時間を潰す事にした。

一旦ここまで。

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