1.パーティーメンバーが弱すぎる。
Sランクダンジョン【戒めの祠】にて100階層まで在る未踏の地までSランクパーティー【強豪の集い】の7人で構成された者達が挑戦を試みていた。
パーティーのリーダーは剣士の“ゴルドー・シルバ”巧みな剣捌きで数々の魔物を屠ってきた、体格が大きく茶色の短髪で目が赤い事から狂戦士とも呼ばれている。
次に副リーダーの槍術士“ブラック・ホワイト”彼の槍は伸縮性が強く一列に並んだ魔物を伸ばした槍で一直線に貫く事ができる、また髪は蒼い長髪で目は緑色をしている。
次に斧使いの“ブルー・レッド”巨大な斧を片手で担ぎ先頭を進み斥候も担っており魔物が近付くのを逸速く感づく事が出来る、髪は赤く筋骨隆々の大男で何時もタンクトップを着ている。
次に弓使いの“パープル・ピンク”彼女は遠くの魔物に百発百中の命中率で脳天を貫く、髪は紫色でポニーテールにしており目も紫色のせいか周りからあまり良い印象を持たれていなかったが強豪の集いに誘いパーティー加入してからは誰も偏見の目で見られなくなった髪は桃色で肩までかかるボブヘアーで胸は小さいがスラッとした長い脚が特徴的。
次に盾役の“スカーレット・オレンジ”タワーシールドと呼ばれる身体が隠れる程長い盾を持ちタイラント系の魔物の攻撃すら防ぐ程の力が有り挑発する事で狙いを自分に向けるなど盾役として優秀、髪は緑色でツインテールにしており目は緑色をし小柄だが巨乳でお菓子が大好きな女性だ。
次に“魔術師の“スプルース・グリーン”全ての魔法が使えるうえに高い魔力を有しており魔法が効かない魔物に対しても杖による攻撃で倒せる程の戦術を用い咄嗟の判断が出来る、髪は髪は水色で腰まで伸びており目は緑色で高身長で露出度の高い服を着ている。
最後に俺“グレー・カラーリング”、皆と違って魔法もスキルも無いけど荷物持ちとしてパーティーに加入させてもらっている。
「魔物の気配が無いな。」
「ああ、だが油断するなよ?」
「ここはSランクダンジョンだ、何が起きても不思議じゃない。」
「そうね、アタシの目で見ても不可視化してる魔物は居ないわ。」
「罠も無さそうだよ?」
「警戒は怠らない様にねー。」
皆一様にダンジョン内を警戒するが魔物は出て来ない事を俺だけが知っている、何故ならダンジョンアタックの話を聴いた後で戒めの祠へ来た俺はボスモンスター以外の魔物を全て倒し終わり罠も解除していたので後はボスモンスターを倒すだけである。
そして魔物の現れないダンジョンの100階層の最奥へと辿り着くと大きな扉が有る場所へと到着した。
「魔物出て来なかったな。」
「それだけボスが強いって事だろ?」
「だな、気を引き締めて行くぞ!」
「どんな魔物だろうと私の弓矢でイチコロよ。」
「アタシも魔法でサポートするわ。」
「あたしも盾で攻撃を防ぐわね。」
俺だけ残して6人はボス部屋へと入って行く、何故俺だけ残るかって? 毎回ヤバくなった時の為、外から扉を開けて逃げ易くする為だ。
因みにボスを倒した後に出現する扉の先には討伐した報酬として宝箱が存在し金貨や装備品などがドロップする様になっている。
今回は前に自分の召喚した魔物がボスモンスターに出来ないか試したところ、ある程度強ければボスモンスターとして認識され倒すと同様に報酬エリアが出現する事は既に成功させている。
後は仲間が俺の召喚した魔物のタイラントオーガを倒せるかどうかなのだが大丈夫だろうか、攻撃は棍棒の振り下ろしと薙ぎ払いだけにしているが当たると即死は免れない程の力をしている。
「て、撤退! 撤退だあ!!」
(えぇ……。)
部屋の中からリーダーのゴルドーの撤退宣言が響き渡り、仕方なく扉を開けると血相を変えた6人が顔面蒼白になりながらこちらに走って来る。
「に、逃げろー!」
「無理無理無理! あんなの防げる訳ないよ!!」
「全然矢が通らないじゃない!!」
「魔法すら効かないなんて聴いてないわ!!」
「おい! 部屋の外まで出て来たぞ!?」
「どうすんだよ! デカい割に意外と早いぞ!!」
俺は我先にタイラントオーガから逃げる6人の後ろから着いて行くが、リーダーのゴルドーが急に走るのを遅め先に5人を行かせると俺に足払いする。 別にコケる程じゃ無かったが思考を読み解き転んであげる事にした。
「はは、悪いなグレーあんな化け物犠牲無しには逃げられないんでな。」
「なっ! 何してるのよゴルドー!?」
「俺は大丈夫だから先に逃げていいぞ?」
俺は地面に伏せ頬杖を付きながら逃げて行く強豪の集いの6人を見送ることにする。
「少し強くし過ぎたかな、俺からの卒業試験のつもりだったんだがな。」
そんな考え事をしている隙にズシンズシンと足音を鳴らしタイラントオーガがダンジョンの外まで向かって行く。
「あのくらいの速さなら追付かないだろうし、俺もゆったりしながら帰るか。」
50階層まで登ったところの脇道に入り、ダンジョンを生成している宝玉を頃合いを見計らい台座から取るとダンジョン特有の雰囲気が消える。
「さてと、皆馬車で帰還してる頃だろうし俺は暫く遊んで帰るかな。」
ダンジョンの外に出て背伸びをしていると遠くの方から女性の悲鳴が聴こえて来た。
「きゃあああああ!!」
その方向を見るとタイラントオーガがおり、俺が召喚した魔物を見て驚いたのだろうと思い安心させる為に向かうと血相を変えた盗賊達が逃げ回りタイラントオーガは盗賊達に向かい棍棒を振り下ろしたり薙ぎ払ったりしていた。
「クガアアアアア!」
「うわああああ! 逃げろおおおお!!」
「何でこんなとこにオーガが居るんだ!?」
「しかもデケー!!」
俺が向かった先には馬車が有り、つい先程襲われたのか服をビリビリに裂かれた金髪青眼の美少女がタイラントオーガを見上げながら恐怖に慄き涙目になりながら失禁し地面を濡らしていた。
その馬車の周囲には護衛の兵士か血を流し複数人倒れて居るなを発見する。
「なあ、大丈夫か?」
「うぅ……、誰か知らんが……頼む……姫様を……」
「姫様? あの娘、姫様なのか?」
「頼む……魔物が……盗賊……を……狙っている……隙に……」
「分かった、責任を持って国に送り届けるから安心しな。」
兵士は一瞬笑顔になるとそのまま目を瞑り動かなくなり、俺は姫様と呼ばれた美少女を背中に担ぐと猛スピードで近い街を見つけ宿屋に入る事にした。