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まやいろ世界-自由日記帳-  作者: 九菩符 まあや
1/1

『2022』の『お正月』

「あけましておめでとう!」

 バーチャル世界中、年越しの言葉で溢れる中まあやの神社でも同じく年越しを迎えていた。

 時は2021年をまたぎ2022年。

 雪がちらちらと舞う中、まあやの住む山の中の社。

 和室の中心にはこたつがひとつ。そのこたつを囲み、三つの影がこたつに寄り添いパソコンの画面を見つめている。

 こたつでくつろぐ人影がパソコンの画面を見つめながらお盆に手を伸ばす。

 だがその伸ばした手は何もない空気を掴んだ。

「あ、黒ー。ミカンもってきてミカン。無くなったー。」

 そう言うのは『まあや』。獣人姿ではあるが人間の少女と同じくらいの体長の彼女はすっぽりとこたつに入っている。

 綺麗な魅惑色の目を眠そうに半開きにしてこたつに突っ伏している。

 尻尾と同じ色の髪をいじりながら黒に空になったお盆を叩きながらボヤいている。

 暖房のきいた部屋だが、もふもふもに毛皮にもこもこの半纏を着ている。

 年も越し0時も過ぎた時間だ。まあやの表情は餅のように眠そうに気持ちよさそうにトロンととろけている。

 こたつの上にはせんべいや茶菓子の入ったザルがある。

 その横には空になったお盆がある。

 黒の反応がないのを見てまあやは再びお盆を叩く。

「なー、白。自分で行けw自分でw」

 そう言いながらもぞもぞと一匹の九尾が狐がこたつからモゾモゾと出てくる。

 白というのはまあやのもう一つの呼称だ。黒もまあやの分身であり、魂の色で呼び分けている。

 白、そして顔に黒い狐面を付けた『黒』。

 狐姿の黒はもふもふの大きな九本の尻尾がもふっとこたつから現れる。

 小さなこたつにどう収納さえていたかは謎である。

 まあやがお盆を黒の頭に乗せてそのまま黒はみかんのダンボールのある台所に向かった。

 文句を言いながらも世話を焼くのは黒のいつものことである。

 黒の後姿を見送りながらPC画面にかじりつくまあや。

 自分がVtuberを目指すきっかけになった推しの箱の配信に釘付けである。

 それはまあやの隣にいるドールもそうであろう。

「次のコーナーが楽しみだなぁ。中の奴ら以外とこうやって過ごしのは久々だよ。」

 そう喋るのはそのドールである。ドールとなった赤と呼ばれる存在が変化した『るーじゅ』。

 1/3ほどの人間の縮尺で無機物の身ではあるが動いて喋ってと人間と同じようにふるまっている。

 るーじゅは長いピンクのツインテールをクシでとかしながらまあやにもたれかかっている。

 お気に入りのピンクのベビードールを着て、まあやと同じ画面に釘付けである。

 どう食べているのかはわからないがポリポリとせんべいを食べながらまあやとくつろいでいた。

「わたしも同じよー。まぁ大して変わらないわね(笑)」

 ミカンを持ってきた黒からお盆を受け取り、ぼーっと狐時代を思い返してしまう。

 まあやもるーじゅも分かっている。

 人間時代、あまりいい思い出はない。こうやって騒がしく過ごすのは初めてだ。


 まあやとして、白として……赤、今はるーじゅとして楽しく過ごす初めての正月。

 それは二人にとってとても感慨深く少ししみじみと感じていた。


「おーい、二人とも!蕎麦くわねぇか?蕎麦!食うやろ?作るぞーw」

 そんな少ししっとりとした雰囲気をぶち壊すように黒のぞんざいな声が割り込んできた。

 黒は短い前足を器用に使い、鍋や食材をさくっと用意している。

 カチカチカチとコンロに火を入れ、冷蔵庫から取り出したネギを刻みながら蕎麦の準備をしている。


「答え聞く前から準備してるじゃない。」

 台所の方を目線だけ動かしてそういうまあや。

 しかし、二人とも蕎麦は食べたいタイミングであったため食べるーと答えた。

 トントントンと黒が包丁を振う音を聞きながら、ゆっくりとした楽しい時間を三人で過ごしていた。




------------




 カタカタとキーボードを打ち込み続ける。

「ふぅ。」

 私は記憶をとり続ける役割のまあやの分身『緑』。

 休日正月関係なく、役割を続けr。

「みどちゃん。お疲れさま。」

 コトリと机の横に丼が置かれた。私専用の少し大きめの丼だ。

 丼の中にきらめいているのは黄金色の出汁に泳いでいる蕎麦だ。

 お肉とゆで卵がトッピングされている。

 私の好きなトッピングである。

 差し出してきたのは……笑顔で微笑む銀色の狐面の九尾。

 銀ねぇである。

「ほら、あのバカどもまだまだ起きてるだろうしアタシが代わるわ。」

 ここは心の世界の大図書館。記憶を記録する場所である。

 そこでの仕事は主に私『緑』が行っているが、万能に取り仕切れる銀ねぇもこの仕事はできる。

「ありがとう。少し遅れたけどあけましておめでとう。今年もよろしく。」

 そう言うと仕事用の机から下り、椅子に腰かけながら蕎麦をすする。

 狐姿で二本足で蕎麦をすする姿は自分でもなんともシュールである。

 銀ねぇはふっと鼻で笑いながら微笑む。

「よろしくね。」

 短く銀ねぇはそう言いキーボードではなく、筆で記録を取り始める。

 変化したこの世界でも無事に年を越せた。

 これからこの変化に大きな波が訪れるであろう。

 それを私は執り続ける。




------------




 まあや全色より心を込めて。

 あけましておめでとう!

 これからも、末永くよろしくおねがいいたします。




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