怪談絵本コンテスト一次選考通過作品「はくせんからおちたらじごく」
「レント、ケイタ、はくせんからおちたらじごくな」
「いいよライ。おれぜったいおちないから」
「じゃあいこうか」
トコトコ トコトコ
「はくせんのうえにごみがあるぞ」
「とびこえろ!」
ピョンッ
「はくせんのうえにいぬがいるぞ」
「いかくしろ!」
「ガオーー!」
「はくせんがとぎれてるぞ」
「とびうつれ!」
「とうっ!」
「あ、だめだ」
「おちる!」
「…あれ?ここは…?」
「おーい!ケイター!ライー!」
あ、レントのこえだ。
「おーい」
「あ、ライ!」
「おれもいるぞ」
「ケイタ!」
「こえはきこえるけど、みんなどこ?」
「うわぁーーー!!」
「レント!どうした」
「うわぁーーー!!」
「ケイタ!」
みんなどうしたんだろ。そもそもここはどこ?
「あ、ライくんだー」
「ライくんあそぼうよ」
「え?え?」
いっぱいいる……レントやケイタが、いっぱいいる。でも、みんなどこかおかしい。
「くるな!おまえらにせものだろ!」
「なにいってるの、ライくん」
「え?おかあさん?」
「そうよわたしおかあさんよ」
「ライくん、みんなとあそんであげなさい」
え?え?おかあさんもいっぱいいる。
「ねぇライくん」
「あそぼうぜ」
「ライくーん!」
「ライくんいっしょにあそばない」
おとうさんも、おねえちゃんも、カンタくんも、ユウコちゃんも、みんながいっぱいいる。
ゾロゾロ ゾロゾロ
みんながいっぱい。
「うわぁぁーー!!」
だめだ。にげられない。
「あそぼ」
「あそぼ」
「ねぇライくん」
「あそぼ」
ブォォォォオウ!ゴウゴウゴウ
「あつい!あついよ!みんなやめて!」
「もーえろよもえろーよ」
「ほのおよもーえーろー」
やめて……
チクチク チクチク ブス ブス
「いたい…いたい……たすけて…」
「あははは」
「たのしいねライくん」
「たのしいね」
「だれか…たすけて……かえりたいよ…」
「ライくん、だめだよ。ライくんはずーっとここでぼくたちとあそぶんだよ」
ゴウゴウゴウ ゴウゴウゴウ
「ひーのこをまきあーげ」
「てーんまでこがせー」
はぁ…はぁ……クルシイ
「ねえねえライくん、ぼくたちどれくらいあそんだかなぁ?」
「……」
「ひゃくねんかなぁ?せんねんかなぁ?いや、もっともっとたくさんぼくたちとあそんだねー」
「……ツラ…イ…」
「そろそろぼくたち、あきちゃった」
「ライくんに、あきちゃった」
「じゃあねー。バイバイ」
「あ、だめだ」
「おちる!」
「あーあ、みんなどうじにおちちゃった」
「あははは」
「つぎはこうえんまできょうそうだ」
「じゃあビリはじこくな」
「いくぞ!いちについて、よーい、ドン!」