表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/78

その④


※※※


 夜になり、僕とニィおばさんは夕飯を食べていた。

 畑でとれた野菜のスープと、近くでとれた魚のムニエルだ。


「ずいぶん急な話だよね、明日の朝って」


 ぼくが言うと、


「謝るしかないんだよ。エル君にまた我慢させちゃってごめんね」

「いや、おばさんが悪いんじゃないんでしょう?」


 スープを飲みながら、ニィおばさんが頬を膨らませる。


「おばさんじゃなくてお姉さん」

「あ、うん。えーと、ニィお姉さんは何も悪くないんでしょ? ちょっと都合が悪くなったってだけだよね?」

「そう、ちょっと都合が悪くて。……理由は聞かないで欲しいんだよ」


 何かを懇願するような目でニィおばさんが僕を見る。

 その表情はまるで小さい子供みたいだった。

 そんな顔をされると、ぼくは何も言えない。


「分かってるよ。とにかく、明日までに荷物をまとめないといけないんだよね」


 既にぼくの部屋のものはほとんど片付けてある。あとは、リビングにある家具をどうやって運ぶかだけど、その辺りはニィおばさんが魔法でどうにかしてくれるだろう。

 せめて今夜は明日の備えて早めに寝ようかな。


「ぼく、お風呂の準備をしてこようかな。今日は早く寝なきゃ。ね、おばさん。……おばさん?」

「――え? ああ、うん……いや、エル君。あたしから離れちゃダメなんだよ」

「どういうこと?」


 気がつけば、おばさんは今まで見たことのないような怖い顔をしていた。

 玄関の方で何か物音がしたのはその時だった。


「……誰か家に入って来たの?」

「多分ね。だけど、向こうはあたしたちに気付かれていることをまだ知らない。だから、今のうちにここから逃げるよ」

「逃げる?」

「今は何も言わずあたしに従って。そうじゃなきゃ」


 おばさんは一瞬何かを考えるように押し黙った。

 それからもう一度口を開いて、


「エル君、死んじゃうから」



※※※



 ぼくらの家に誰がやって来たのか僕には分からない。

 だけど、ニィおばさんの表情から、どうやら悪いことが起こっているんだってことは分かった。


「出来るだけ足音を立てないで、あたしについて来て」

「う、うん」


 ぼくらはリビングの窓から家の外に出た。

 テーブルの上に食べかけの夕食を残したままで。


 ニィおばさんは素早い足取りで家から離れ、森へ続く道へ歩いて行く。

 ぼくは必死でそれを追いかけた。

 もう辺りはすっかり暗いのに、おばさんの足に迷いはなかった。まるで闇の中でも目が見えているみたいだ。


「……思っていたより敵の侵攻が早かったんだよ」

「え?」

「エル君は気にしないで。今は歩くことだけ考えて」


 おばさんがそう言った瞬間、ついさっきまで僕らがいたリビングが爆発した。

 激しい音と衝撃が僕らを襲い、ぼくは誰かに押し倒されながら、ぼくらの家が崩壊していくのを見た。




読んで頂いてありがとうございます!


夢のハイファンタジー日刊一位目指して更新していきますので、応援よろしくお願いします!


ここまでで

・面白かった

・次も早く読みたい

・もっと頑張れ!

と思ってくれた方は、広告下の評価欄からポイント評価で応援して頂けると、励みになります!


次回の更新は10月28日、7時台の予定です! お楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大人気(笑)連載作! 本作の前日譚となっていますのでぜひご覧ください!↓

外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ