表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/78

その⑯


 斬沢先生が話を始め、少し場の空気が正常に戻った頃、俺は少しだけ後ろを振り返って訊いてみた。


「……あのー、神奈崎さん」

「何かしら」

「さっきの、どのくらい本気なの?」

「ふん。本気に決まっていますわ。庶民に気やすく近づかれてはたまりませんもの」


 白い顎を上げながら神奈崎さんは言う。


 こいつ、友達なくすぞ……。

 俺が気にするのも余計なお世話かもしれないけど。


 そうしている内に先生の話も終わり、俺たちは寮へ移動することになった。





「……ここが俺の部屋か」


 畳が敷かれた10畳ほどの部屋。

 入ってすぐにはトイレと洗面台、そして冷蔵庫が設置されている。

 部屋の隅には布団が四枚折りたたまれている。

 聞いたところによると、四人の相部屋らしい。


「一体誰が同じ部屋なんだろうな。親切な人だといいけど」


 と、俺が呟いたとき。


「……ちわっす」


 小柄な女の子が部屋に入って来た。

 肩くらいまである黒髪で、なぜか男子の制服を着ていた。

 あ、いや、男子の制服を着ているのだから男子か。ちょっと勘違いしてしまったらしい。


 それにしても、なんかこいつ知ってる気がする。


「もしかして、自己紹介でスベッてた人?」


 男子生徒はあからさまに落ち込んだ顔をした。


「そ、それは言っちゃダメっすよ。忘れて欲しいっす。ウチの名前は下井セカイ。ちょっぴりエッチな思春期新入生っす」

「ああ、俺は真白エル。よろしく」

「もちろん噂は聞いてるっすよ! 試験の時魔法を使って大暴れしたとか、上半身と下半身が引き裂かれても死ななかったとか、地元一帯を焦土にしたとか」


 完全に噂が独り歩きしている。

 俺は化け物か何かか?

 ――いや、ある意味では間違いないのかもしれない。だって俺は人殺しなのだから。


「とにかく、そんなスゲー人と同室なんて心強いっす! どーぞよろしく!」


 セカイは俺の右手を握った。

 小さくて柔らかい手だ。……こいつ本当に男子なんだよな!? さすがに女子と同室ってことにはならないよな!? 常識的に考えて!


 が、そんな俺の思いを打ち砕くように、聞き覚えのある声が聞こえて来た。


「な、なんですのこの部屋っ! エリートのわたくしにこんな部屋で過ごせというの!?」

「わーっ! ここで私の新しい生活が始まるんですね!」


 入り口に立っていたのは、俺のよく知っている二人――神奈崎とユイだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大人気(笑)連載作! 本作の前日譚となっていますのでぜひご覧ください!↓

外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ