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その⑭




「よう諸君。俺がこのクラスの担任の、斬沢ロットだ。よろしく頼むぜ」


 髪を一部だけ赤く染めた黒髪の男。

 ロットと名乗る、高級そうなスーツを着たその男が俺たちのクラスの担任だという。


「あの人が担任の先生か。なんか、目つきが怖いよね」


 俺は隣の席に座るユイに言った。


「昔は国の諜報機関に居たらしいですよ。怒らせない方が賢明かもしれないですね!」

「へえ、そうなんだ。どこでそんな情報を手に入れたの?」

「ふっふっふ。私を見くびってもらっちゃ困ります」


 ユイは怪しげな笑顔を浮かべる。


「……それよりさ、先生の斬沢って苗字、どこかで聞いたような気が」

「おい、そこのお前!」


 突然、斬沢先生が大声を出した。

 顔を上げると、彼は俺の方を見ていた。


「俺、何かやっちゃいました?」

「何かやっちゃいましたじゃねえんだよ。人が話してるときは人の話を聞けって習わなかったか?」

「あー、すみません。ところで先生、入学者代表の斬沢さんと何か関係があるんですか?」

「あ? どういう意味だよ」


 目つきの悪い斬沢先生の目が、さらに凶悪さを増す。

 こんな人が教員やってていいのか? コンプラ違反じゃないの?


「いや、苗字が一緒だなあって思って」

「斬沢アオは俺の娘だよ。それがどうした?」

「あ、やっぱりそうなんですね。優秀なお子さんを持つと色々と不安が絶えないでしょう。男親としては心配なんじゃないですか? ほら、この学校って寮生活だし、変な虫が寄り付かないとも限らない」


 俺が言い終わると、クラス中を痛いほどの沈黙が包み込んだ。

 ……入学早々目をつけられるとは。やっぱり俺は不幸の星の元に生まれてきたに違いない。


「――じゃねえか」

「え、なんです?」

「よく分かってんじゃねえか、お前。名前は?」

「え? えーと、エル……真白エルです」


 威圧感を身にまとった斬沢先生が、教壇から俺の方へ歩いて来る。

 そして、俺の肩に手を置いた。


「真白くん。君は俺の気持ちをよく分かってるなぁ!」

「……はい?」


 見ると、斬沢先生は両目から涙を流していた。


「俺が言うのもなんだがよ、ウチの娘は顔も可愛いし頭も良い。君の言う通り俺はあの子が心配で心配で仕方ねえんだよ。それなのに、アオは俺のことを臭いだの汚いだの……!」

 斬沢先生は、スーツの内ポケットから一枚の写真を取り出した。


 可愛い女の子が映っている写真だ。

 多分幼い頃の娘さんの写真だろう。


「昔はあんなに素直で可愛かったのに、今じゃ……。俺がこの学年の担任を志願したのも、あの子をどこの馬の骨かもわからねえ男から守るためなんだよ! それなのにEクラスの担任なんかになっちまって! うう……!」


 どうやら彼の触れてはいけない部分に触れてしまったらしい。

 まあ、どうやら俺に怒っていたのは忘れられちゃったみたいだし、良いか。




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大人気(笑)連載作! 本作の前日譚となっていますのでぜひご覧ください!↓

外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。
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