表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/78

その⑬


「チッ、どいつもこいつもシケたツラしてやがりますわね。さすがEクラス」


 そんなことを言いつつ俺の隣に座って来たのは、やはりというべきか神奈崎だった。


「さっきの今でいきなり口悪いね、神奈崎さん……」

「そんな気持ちにもなりますわ。ところであなた、怪我は大丈夫?」

「え?」


 俺が聞き返すと、神奈崎は顔を赤くして、


「で、ですから、怪我は大丈夫なのと訊いているのですわ! 出血もひどかったようですし」

「心配してくれるの?」

「ま、まさか。わたくしの魔法で死人が出たら寝覚めが悪いと思っただけですわっ!」


 神奈崎はそう言ったきり向こうを向いてしまった。


 たとえ誰かを殺したとしても父親がなんとかしてくれるんじゃなかったのか……とは言わなかった。

 優しさ、というやつだ。


「そろそろ入学式、始まりますよ!」


 ユイが俺に囁いたのを合図にしたように、三階席まであるようなやたら広い式典会場の照明がゆっくりと暗くなり始めた。





 どうして大人は話が長いんだろう……?


 さすが国に一つしかない魔法の学校というだけあって、長ったらしい肩書を持つ人たちが何人も来賓として招かれていた。そして彼らは代わる代わる壇上に立ち、そして同じような話を延々と繰り返した。

 ある種の拷問に近かった。Eクラスの生徒の半数近くが途中から眠っていたような気がする。さすがEクラスだ。


 ただ、唯一この学園の校長である、ミシア・フォン・ハルフォードという女の人の話はほんの一言で終わった。


 彼女は壇上に上がるなり、


「皆さんには期待しています。頑張ってください」


 とだけ言って、再び壇上から降りたのだった。

 このミシアという人、この国の大統領をしていた人らしい。ユイが教えてくれた。


 あと、入学式中に起こったことと言えば――実は俺も三分の一くらいは寝ていたからよく覚えていないのだけれど――入学者代表の挨拶でスピーチを行ったAクラスの子がまあまあ可愛かったくらいだ。確か名前は、斬沢アオとか言ったっけ? 青白いロングヘアでスタイルがめちゃくちゃよかった。遠くから見ただけだから顔はよく分からなかったけれど、それなりに整っているようにも見えた。


 まあ、かかわることは一生無いと思うけど。


 入学式が終わると、俺たちはそのまま俺たちの教室へと向かった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大人気(笑)連載作! 本作の前日譚となっていますのでぜひご覧ください!↓

外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ