その⑪
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というわけで。
いや、何がというわけなのかと訊かれると答えに困るのだけれど、とにかくそういうわけで、入学式の日がやって来た。
全校生徒は200名。一クラス40人の五クラス。
そして俺は当然、前から告げられていた通り、ぶっちぎりの底辺クラスであるEクラスに無事配属されることとなった。
周りからは、より上位のクラスに配属されたことを喜ぶ声が聞こえてくる。
そしてそんな彼らの会話のオチは必ず、俺たちEクラスに入らずに済んでよかったな、である。
まあ、どうでもいいけど。
そろそろ入学式の始まる時間だし、会場に向かわなくては……。
「あっ、エルさーん!」
こ、この突き抜けるように能天気な声は!?
俺に近づいてくる足音に振り返ってみると、案の定夕凪ユイだった。
「おお、久しぶり。元気だった?」
「もちろん元気ですよ! 私は元気の擬人化みたいなものですから!」
本当だろうか。
それは嘘だろと思うけど、言うのも失礼な気がするから、口には出さないでおこう。
「ユイは何クラスなの?」
「聞きたいですか? 知りたいですか?」
「うん、超知りたい」
「ふっふっふ。実はですね……」
な、なんだこの雰囲気!
少なくともCクラス以上――いや、まさかアレか、こいつAクラスか?
十分なタメを作ってから、ユイは言った。
「なんと、Eクラスだったんですよ!」
「えーっ!? Eクラ……Eクラス!?」
「驚きましたか!?」
「驚いたよ……別の意味で」
完全に予想を裏切られた。いや、ある意味で予想通りではあったのだけれど。
「ちなみにエルさんは?」
「俺もEクラスだよ。ほら、魔法試験を受けてないだろ、俺」
「一緒のクラスじゃないですか! やった、知り合いがいるのは心強いです!」
喜びを表現しているのか、ユイがその場で飛び跳ねる。
「ああ、俺もだよ」
「では早速入学式に向かいましょう! 私たちの学校生活は始まったばかりです!」
「おお! ……あ、ユイ、制服似合ってるね」
「そっ、そういうことをついでみたいに言わないでください!」
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