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鋼鉄の舞  作者: 水無月スイ
2/2

恐怖の始まり

クリスマス。

去年までは、友達と一緒によくパーティーを開いていた。

みんなで次の日の夜まで遊んだ。

今年は高校を受験して、遠い地まではるばるやってきた。

だから、今年のクリスマスはまた違う人たちと過ごそうと思う。


・・・ここは、日本国第八防衛拠点・・・「福岡」

小学校のころに習ったけど、昔鉄をたくさん作ってたんだとか。

今は知らないけど。

僕・・・対馬 暁は、名字をみればわかるけど・・・北海道出身。

今、この福岡に来て9ヶ月目。

高校一年生・・・といっても、学生が変わって、1年で卒業できるコースもあるので、それをとったんだけどね。

なんでここに来たかって?

答えは「出稼ぎ」をするため。

両親はどっかに消えちゃってよくわからないし、15年間育ててくれた親戚も仕事が忙しい。

てことではるばるここまで来た。

学校に通いつつ、夜はとあるカフェでバイトして生活費を稼ぐ日々。

あと3カ月して卒業すれば、工場に勤められるんだけどね。

ま、それまでの辛抱かな・・・

バイト先のカフェの名前は「イーグルフォース」。

店長さんが鷲が大好きらしい。(あったことないけど)

「アキさん、お客さん来たよ。接待接待!」

「あ、了解。いらっしゃいませ!」

「アキさん」と僕のことを呼んだのは、竜田息吹さん。

通商竜さん。

この店ができた当時から働くベテランさん。

僕をバイトに誘ってくれた恩人。

今日は、そんな竜さんと二人で接客していた。

バイトしながら思ったのだが、今日はクリスマスとあって客が多い。

(クリスマスなのに二人って、店長は何考えてんだ・・・)


深夜0時、閉店して鍵をかけた。

「二人ともお疲れ様。今日は大変だったな」

「店長は何考えてるんでしょうね。クリスマスに店員二人とコック一人って・・・」

「ふむ、それはあとで店長に抗議せねばな」

僕に話しかけてきたのは、この店のコック兼、教官。

名前は蝶野紅一。

この店で、店長よりも仕事が大変なんだとか。

「教官」と呼ばれるだけあり、すごい情報量た知識を誇る人だ。

「アキはこの後時間あるか?」

「あ、まあはい。明日は学校休みなので」

「ふむ、そうか。では、その椅子に掛けたまえ」

カウンター越しに、長い話は始まった。


「最近、またこの拠点内に「難人」が出たとの情報が入った」

え・・・?

「難人」。

この世で僕ら普通の人間が恐れる存在。

人体を改造され、魔物のように暴れ、盗み、殺し、争う。

僕らにとっては「敵」みたいなものだ。

「アキはみたことあるかね?「難人」を」

「いえ、見たことないです」

「あんなのには近寄っちゃいけないし、見たと思ったらたぶん殺されてますよ」

「まあ、そうだな」

蝶野さんはつづけた。

「では、それに対する対抗手段は知っているかな?」

「・・・あるんですか」

ないと思っていた。やつらを倒す手段は。

「我々、難人に改造されていない人間のみができることでね。簡単に言えば、鉄で体を武装する「超能力」と言うべきかな」

蝶野さんは、真剣な顔で話を続けた。

「ある日突然、体に六角形の紋章が現れてね、その部分が硬くなるそうだ。んで、その紋章が出た者には、全身を鋼で武装する超能力が使えるらしい」

「いろいろ質問したいのですが・・・なんでそんな風に、突然超能力が使えるんですか?」

「・・・さあな。まだ謎に包まれているな」

予感的中だった。

「ただ・・・」

ただ・・・?

「難人に改造された者はこうはならないらしいから、それが関係しているのかもな」

まあ、化け物が強化されちゃ困るもんね。

「それと・・・これは噂だが、能力が目覚めたときに声が聞こえるらしい」

「例えば?」

「よくは分からんが・・・とにかく、鉄でできた物・・・例えば戦闘機、刀・・・あとは、神様の名前とかな」

「難かどこぞやのテレビゲームで見る展開ですね」

「私も、最初はそう思ったよ。ただ、このおかげで科学的な根拠ができた。」

「というと?」

「人の血液には、鉄分が含まれているだろ?あれに、なんだかの形でその・・・魂みたいなのが宿り、そいつで鉄を操るのではないかとね」

ごめん蝶野さん、僕理科の成積悪いんだよ・・・(泣)

「実際、能力が使えるものの大半が血液中の鉄分の濃度が濃いらしいぞ」

「へー」

で、そろそろ言おう。

「ごめんなさい、今日は終わりにしませんか?」

もう夜中の2時だった。


「それじゃ、難人に気をつけてな」

「はーい」

アパートへの帰り道、僕ははっと気付いた。

(竜さん・・・いつの間にいなくなったっけ?)

今さらだが、蝶野さんと話してる間に消えていた。

ま、いいか。

アパートまであと100mとなった。

最後の丘を登ろうとした・・・その時だった。

上から、血が降ってきた。


見上げると、二人の青年が立っていた。


一人は体を鉄で武装し、刀をもった・・・鋼鉄の能力者。


もう一人は、背中から触手が生え、その先端が刃のように尖っている。

そう「難人」だ。



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