新任女教師の秘め事 解決編
ユークディットです。初の3部作、解決編アップしました。読んでみて下さい。みなさんはどんな推理を展開しましたか?
コツコツ・・・
姫宮:・・・ふぅ・・そろそろいい時間ね・・
堺:良かったですね・・誰にも気づかれてなくて
姫宮:ええ。・・とりあえずは一安心だけれども・・
鏡:やっぱりここに来ましたね。お二人とも・・
姫宮:!!?
堺:え?・・あ・・君は・・
鏡;特進科2年の鏡です。やっと捕まえましたよ・・姫宮先生。
姫宮;この時間帯にどうして残っているの?
鏡;警備員さんに忘れ物をしたからいれてほしいってお願いしたんです。
明日:器楽室で何をしているんですか?
姫宮:・・・・ここに来たってことはもう全部知ってるのかしら?
鏡;ええ。・・とりあえずここで立ち話もなんなので・・文芸部の部室にいきませんか?警備員さんに頼んで鍵を貸してもらったので。・・・後ろにいるその子も一緒に
明日:その子?
堺:・・ここまできたら隠せないか。・・・よいしょっと。
?:クゥウン・・・
明日:え?・・子犬・・?
姫宮;トイプードルよ。かわいいでしょ
明日;でもどうして器楽室で・・
鏡;話は部室にいってからにしましょう
相座:先輩。一応片付けましたよ・・あ。姫宮先生と堺先生・・こんばんは
姫宮;あなたは・・1年の相座さんね。
相座:あ。かわいいーートイプードルですね。でもどうして・・?
姫宮;どうしてわたしたちが器楽室で子犬を内緒で飼育しているってわかったのかしら
相座;え?学校の中で飼ってたんですか!?
鏡:最初にひっかかったのは、境先生が姫宮先生の怪我に関して嘘をついているかもしれないって思ったからです
堺;怪我?・・手のやつ?
明日:転んで怪我をしたっておっしゃってましたけど、普通転んだら怪我をするのは甲ではなく平のほうだと鏡君が気づいたんです。お2人が放課後に密会していたこともわたしたちには隠していたので何かあるのではと
姫宮;なるほどね・・この怪我はこの子に噛み付かれたときのものなのよ。わたし家はアパートでひとり暮らしだから、ペット禁止なのよね。持ち帰ることもできなかったけど、ほっとくのもかわいそうでね。
堺:ほんとうはこの子わたしが出勤したときに見つけたんです。わたしも1人暮らしで犬は飼えないからどうしようかなって思ってたら姫宮先生がいらっしゃって・・
鏡;それで引き取り先がきまるまでここで内密に飼う事にしたってことですね
相座;先輩。犬が学校にいるなんてよくわかりましたね。
鏡;犬かどうかはわからなかったけど、少なくともなにかペットを飼ってるんじゃないかとは思っていたよ。
姫宮:それはどうしてかしら?
鏡:古いスピーカーを技能技師の武村さんからゆずりうけたこと聞いたんです。それでその使い道をずっと考えてたんです。普通にスピーカーとして使うなら新しい型のほうが絶対にいいはず。旧式のまもなく捨てられるようなスピーカーをもらっていたときいてかなり違和感がありました。
明日:スピーカーも関係していたんですか?
鏡;スピーカー本体じゃなくて、使いたかったのはその中身じゃないですか?
相座:スピーカーの中身?
鏡;吸音材だよ。たぶん、使わなくなったスピーカーから吸音材を抜き取ってたんですよね。
姫宮;・・・ええ。その通りよ。
相座:吸音材・・?
明日;音を吸収する素材のことですよね・・あ!もしかして子犬の吠える音を・・
鏡;ああ。猫とは違って犬はよく吠えるし、吠える声も大きい。普通に学校で飼っていたら誰かに聞かれてしまうおそれがある。だからすこしでも音を干渉するために、スピーカーから吸音材を抜き取ってそれをゲージかなにかに貼り付けたんじゃないですか?
姫宮;ええ。・・最初は器楽室にあった古くなって使えないラジカセとかについているもので代用しようとしたのだけど、量が足りなくてね。それで技能技師の武村さんに聞いてみたのよ。
明日;飼育場所が器楽室だというのはなぜわかったんですか?
鏡;ほんとうは屋外で飼うのがベストだろうけど、警備員の巡回とか生徒さんが見つけちゃう可能性がある。でも器楽室なら原則鍵がないと入れないし、音楽教師の姫宮先生なら器楽室の鍵は怪しまれずに何度も借りれるから。それに、器楽室の扉は他の特別教室よりも厚くてすでに防音設備がある。少しくらい吠えたとしてもたぶん外には聞こえなかったんじゃないかな。
明日;なるほど・・じゃあ整理中っていって吹部の練習を器楽室でさせなかったのも・・
鏡;少しでも見つかるリスクを減らしたかったからですよね。
鏡;あともう一つは・・甘いにおい。器楽室と姫宮先生から漂ってたらしいです。
明日;心春ちゃんが言ってましたね。・・あれはなんの匂いだったんですか?
鏡;たぶんだけど、人間の赤ちゃん用の粉ミルクかなにかの匂いなんじゃないかな
明日;あ!言われてみれば・・どこか懐かしいような甘い匂い・・そうです!粉ミルクの匂いに間違いないです!!
相座;粉ミルク・・もしかしてその子のエサ?
鏡;見たところまだ生まれて間もないみたいだからね、固形物が食べられないから人間用の粉ミルクを薄めて与えてたんじゃないかな。
堺;そうよ。犬は肉食だから、草食の牛の牛乳だと体調を崩しちゃうから。ほんとうは犬用のミルクがあればよかったんだけど、この近くにペットショップはないから・・粉ミルクを薄めて代用してたってこと。
姫宮;わたしがあげたときうっかりこぼしちゃったから・・その時の匂いかしら。
明日;そういえば・・どうしてこんな時間に器楽室に?
鏡:ぼくらが2人のことを詮索し始めたことで、一刻もはやくこの子犬をどこか別の場所に移す必要があった。だから、下校時間が過ぎた後で必ずここにくるとふんでました。
堺;それもあったんだけどね・・一番は、引き取り主が見つかったからなのよ
相座;飼い主見つかったんだ。よかったぁ・・
姫宮;堺先生のお姉さんの家で飼ってくれるそうよ。だから、早いうちにこんな狭いところから開放してあげようとおもってね
相座:でも・・犬を飼ってたなんて・・誰も気づかないものなんですね・・
鏡;たぶん飼っていたのは器楽室じゃなくて器楽準備室の方だったんじゃないかな。準備室ならもともと大きめの楽器がたくさん置いてあるし、布かなにかで覆えば簡単には見つけられないから。
姫宮;それにこの時期は器楽の授業もなかったから、あそこはほぼ使われないからね。幾分安心して置いておけると思ったんだけど・・まさか見つかっちゃうなんてね。
堺;手の怪我とスピーカーと甘い匂いだけでここまできちゃったんだもんね・・
姫宮;・・・まあでも見つかっちゃったならしょうがないわ。わたしのやったことは子犬を守るためとはいえ、職務違反。・・・ちゃんと報告するわ。
堺;ごめんなさい。姫宮先生・・
姫宮;あなたは悪くないわ。ここで飼おうっていったのはわたしの方なんだから。・・・
鏡;あの。そこで相談があるんですけど・・もしぼくらの条件を飲んでくれるなら、このことは学校側には密告しません。
堺;条件?
明日:・・まさか鏡さん・・
鏡;ぼくら文芸部はいま顧問を探してまして・・実はことの発端は姫宮先生に文芸部の顧問をお願いしようと思って探していたことから始まったんです。できれば姫宮先生が主顧問の堺先生が副顧問でお願いしたいんですが・・
姫宮;・・・そうね。吹部があるけどもあっちのほうはほぼ事務方の仕事が多いから・・なんとかなると思うわ。
堺;わたしも、まだ顧問は持ってないから。たぶん大丈夫だけど・・
明日:本当ですか!ありがとうございます
姫宮;・・・でもほんとにだまっててくれるのかしら?
鏡;約束は守りますよ。理由もいかがわしいものではなかったのでw
堺;見つかったのがあなたたちでよかったわ。
明日;ではこのことはここにいる5人の秘密ということで・・
鏡;・・そろそろ出ましょう・・あんまり遅いと警備員さんが不審に思うだろうから
クゥン・・・
こうして新任女教師2人の秘め事は文芸部によって明らかになった。子犬のほうも引き取り主がきまっているし、学校側の被害もない。かくして平和にこの事件は幕を閉じた。
週が変わって・・月曜日のこと・・
明日:おつかれさまです
相座;明日先輩。おつかれさまです。今日、鏡先輩は軽音部のほうにいってるみたいです
明日:ここ2・3日はこちらの都合に合わせてしまいましたから仕方ないです。・・・でも、これで顧問も決まりましたし、あとは部員2人を確保するだけですね!
相座;はい。期限まであと3週間もあります!大丈夫ですよ。
明日:そうですね!じゃあ今日もビラ配りと部室清掃を行いましょう!
相座:はい!
残り2人の部員を確保すべく・・文芸部はさらに勤しむのだった。
読んでいただきありがとうございます。初の3部作、ネタ自体はかなり気に入ってます。これからもこういった推理めいた小説を考えて載せていければいいなとおもいます。
次回は文芸部入部4人目登場です!どんな部員なのかおたのしみに! ディトより。