少女との出会い
悄然少年と昂然少女の続きです。タイトルめっちゃ悩みましたw
?:すみません。部室棟ってどちらにあるんでしょうか?
唐突に投げかけられた質問にぼくはかなりとまどった。
鏡:ああ・・部室棟なら5号棟ですよ。この先の体育棟のとなりです。
うちの高校は私立だからなのか設備はわりと整っている。教室がある1号棟、化学室などの実験室や家庭科室などがある2号棟、体育館や柔剣道場がある3号棟、食堂や合宿施設のある4号棟。そして部室があるのは5号棟だ。正直ぼくも最初入学したときは迷った。人に聞ける性格でもないので校内案内図はホームページをみてすぐに覚えた。
鏡:「・・・新入生かな・・?」
?:ありがとうございます!・・・あのお聞きしたいんですけどいま部活ってもう決められました?
鏡:ぼく?入ってますよ。
?:入ってる?1年生じゃないんですか?
鏡:ぼくは2年生だよ。
?:あ!・・・すみません・・部活動案内の掲示板をみていたのでてっきり新入生かと・・
鏡:よく間違えられるよ・・。
またか・・。見た目小柄なぼくはよく年下にみられるようで・・。ここに来るまでも吹部やら美術部やらラグビー部やら・・いろんな勧誘にあった。この時期になるといつも頭を悩ませるが・・こう何度も同じことが起こるともう言い返す気も失せてくる。
鏡:もしかして新入生?
?:私ですか?ええ・・新入生というか転入生です。2年生なんですけど・・。
鏡;ぼくと同じだ・・。
?:そうなんですか!よかった。転入したばかりなのでまだ同じ学年の方とちゃんと話してなかったので。クラスとか聞いても良いですか?
鏡:特進科の7組だよ。
?:そうなんですか!?私も特進科なんです。クラスは隣の6組ですけど・・。同じ学科なら合同授業とかで一緒になるかもしれないですね
鏡;そうだね・・。
不思議だ・・なぜぼくは今日初めて出会った女子とこんなに会話してるのだろう・・。というよりもなぜこの人は初対面のぼくに対してこんなに話しかけてきてくれるのだろうか?
鏡:部室棟・・行かなくて大丈夫なんですか?
?:あ。そうだった。ありがとうございました。またはなしましょうね!
鏡:いろんな人間がいるんだな。やばっ・・部活始まってるよ・・。
鏡:おつかれさまでした。
今日の部活もいつもと同じだった。コード練習と今後のライブのミーティング。前にも言ったかもしれないが満足していない訳ではない。ただ・・何かつまらない。
鏡:今日の夕飯どうすっかな・・刺身でも買っていこうか・・!!?
?:あ・・さっきの!
鏡:どうも・・
?:さっきはありがとうございました。おかげさまでいろいろな部活動を見てまわれました。
鏡:いえいえ。・・・入りたい部活は見つかったの?
?:うーん・・それが・・私転入生だからあまり他の新入生と馬が合わないというか・・。すこし窮屈な気がして
鏡:あー・・なるほどね・・。
?:・・どこかにだれも部員がいない部活でもあればいいのに
鏡:そんな部活ないでしょw
?:そうだ!なければ自分で作ってしまえば良いのでは・・!
鏡;そうきたかw・・・部活新しく立ち上げるのって大変って聞くけど・・?
?:たしかに・・そうですよね・・。転入生がこんなことするとまた空気が悪くなってしまいますね。
鏡:もともと合った部活をもう一度復活させるのはありかもしれないけど・・。
?:復活ですか・・それいいアイデアですね!ありがとうございます!じゃあわたしそろそろお迎えが来てしまうので。また明日!
鏡:あ・・行っちゃった・・
それは不思議な感覚だった。女の子との会話なんてこれまでロクにしてこなかったのになぜ今日は自分から会話を振ってしまったんだろう。会話が終わった後でそのことに気づいた。
鏡:・・・名前・・聞いとけばよかったな
読んでいただきありがとうございます。まだ序章が続くので、ミステリー好きの方はもうしばらくお待ち下さい。 ディトより。