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ラッキースケベというよりこの子の場合は教育が

 「ハァ、ハァ……」

どうしてだ、どうしてこんなことになった?

「くそっ考えても同じか」

俺は血に染まる辺りを見回しながら思い出していた。


------------

 ことの始まりは、下校途中に会った王女とその側近だ。

そうだ、王女が妙なことを言い出したんだ。

「しょーがねー、ウダウダやるのは性に合わねーデス。

とりあえずワタシとしては生殖機能は無くとも

遺伝子を持って帰れればそれで万事オッケーデスからね。

……エシリア、計画通りやっちまうデス」

「本当に良いのですか?クラニシエンド王女」

「構わねーデス、この星の法なんて知ったこっちゃねーデス」

「畏まりました、では」


 法?知ったこっちゃねー?

彼女らの会話の端々から恐怖を感じさせる。

先程の雰囲気とは二人共打って変わって別物だ。

危険だ、もしかして逃げたほうがいいのか?

 その時、光が走った。

「うッ!何だ!?」

予感がしたんだ。

振り返ると、閉めてあったドアには内側から溶けたような穴が大きく空いている。

その向こうには。

「ッッゆず!!!」

胴体に風穴を開けたゆずが横たわっていた。

さっきまでドアをノックしていた彼女の生気はもう感じられない。

俺はドアを開け、ゆずに駆け寄った。

「おいッ!!!ゆず!!!おい!!!返事をしてくれ!!!!」

瞳孔が開き、口をだらしなく開け、彼女の鼓動は止まっていた。

恐らくもう二度と彼女と会話することは無い。

素人目にも救急車を今呼んだところで手遅れなのは明らかだった。

即死だったろう。

悲しむよりも先に怒りが込み上げた。


 「どうして!!何をしたんだお前ら!!!」

俺は王女とエシリアを怒鳴り上げた

「はっはっは、どうデス!スゲー威力です!!

テメーらの科学力じゃ到底今は作り上げられない光線銃ってやつデス!!

悪の組織の鉄板デス!!」

「わっはっは」

高らかに笑う王女と対象に冷ややかな笑い声を上げるエシリア。

こいつら、正気じゃない。

いや、そもそも違う星の人間にこちらの倫理観など通用しないのか。

「光線銃だ!じゃない!!どうしてゆずを撃つ必要があったんだ!!

彼女が一体何をしたってんだよ!?」

「しょーがねーデス。テメーを連れ去るのに目撃者が居てもらっちゃ困るデス。

こうでもしねーと後から腐れたもんが付いてくるデス。

非公式でこの星に来たんデスから、証拠隠滅ってやつデス。

ワタシらが来たことはもうバレてるはずデスから、撃ってみたかっただけデスけど。

この星の人間に撃ってみたらどうなるかやってみたかったデス!!

いやー、いいもの見れたデス!!これだからやめられねーデス!

ストレス解消デス!!!」

「とまぁそういうことです、椎名様」

 撃ってみたかっただけだと?今確かにそう言った。

撃ってみたかったから、こいつらはゆずを殺したんだ。

俺は採取対象だから、代わりにすぐそこにあったもので。

そうだ、こいつらの目は人を見る目じゃあない。

俺のことだって『採取対象』だと言った。

つまり、俺は『俺でなくても構わない』ということだ。

こいつらにとって重要なのはあくまで俺の遺伝子だ。

もしかすると俺の生死は大した問題ではないのかもしれない。

俺は身の危険を感じながら、それでも言わずにはいられなかった。

俺がもう少し賢ければ逃げるという選択肢もあっただろう。


 「お前ら……許さねぇ」

俺の中でグツグツと沸き立つ何かがあった。

今までこんなことは無かった。

怒りと悲しみが同時に俺の体内で沸騰している。

今なら……やれる。

『チカラが欲しいか』

『あぁ、欲しい』

『あいつらを、殺せるだけのチカラが』

『銃を持っていても関係無いだけのチカラが欲しい!!』

俺は体内から語りかける何かにそう答えた。


 そこから俺は瞬時にエシリアの背後に回った。

「なっ!?」

流石に人間がこんな動きをするとは考えていなかったのだろう

驚いた声を上げた瞬間俺はエシリアの頚椎を捻り上げた。

ゴポゴポと血を吐きながら崩れ落ちる。

その最中にも俺を行動不能にしようと攻撃を仕掛ける挙動を

今の俺が見逃すはずもない。

エシリアのここからの動きなど簡単に予測可能だ。

銃を撃つにも足や腕で攻撃をしようにも俺が目に映るだけの速度で動かなければそれだけだ。

当たらなければ何もしようがない、後は数秒待てば終わりだ。

「エシリア!?」

隣のちんちくりん褐色チビが素っ頓狂な声を上げた。

「テメー!一体ただの人間がエシリアを殺せるわけねーデス!!」

「はっただの人間?お前には俺がそう視えるのか?」

見当違いも甚だしい問いを投げかけるかまぼこ野郎に俺はそう答えた。


 「お前ら、言ってたじゃないか。俺は特別だって。

そういう因子を持ってるんだろう?俺の体内にはそれがある」

俺はゆっくりとキッチンに向かいながら続けた。

「だからさ、俺の因子はそういうことなんだよ。

今わかった、その気になれば因果律さえ操作することが出来る。

運命を動かすことが出来る俺の因子はそう使うんだ」

「そう、俺に教えてくれたんだ」

凄まじい全能感が俺を包み込む、後はどうやってこいつを調理してやろうか。

「な、その目は何だデス!?」

「別に?ただ俺の愛しい幼馴染の仇を討つ、それだけだ」

キッチンから刃物を取り出し俺はそう告げた。

「お前らが悪いんだろう、俺を怒らせたのがそもそもの間違いだ。

遊び半分で手を出す相手を間違えた。

二人できたのも失敗だったな、数がいればもう少し楽しめただろうに」

「や、やめるデス……悪かったデス!!謝るですから!!」

「謝る?何に?お前が謝ったところでもうゆずは帰ってこない。

見ろよ、死んでるだろ?お前らがやった、お前が命令したんだ。

お前も同じところに送ってやる。

せめて、お前だけは苦しんでくれ。それで俺は少し救われる」

「やめ」

そこまでだった、俺はまず声を奪った。

泣き叫ばれて騒ぎになっても困るからな。

ゆず、見ていてくれ。お前を殺したやつを俺は許さないから。

お前の3000倍苦しめて殺してやるから。


 辺りは血の海だった。

「血の色だけは同じか、胸糞悪い」

声を奪い、指、神経、動けなくしてから動かなくなるまで

俺はありとあらゆる手段でこの肉塊に痛みを与えた。

これで、仇は取ったぞ。


 --------------

「おい!聞いてるデス!?何ボーッと突っ立ってやがるデス!!

それからドンドンうるせぇデス!!後ろのそいつを何とかするデス!!」

「ハッ、危ない!!光線銃が!!!」

「光線銃!?何言ってるデス!?」

「あれ?クラニーちゃんどうしたの?殺さないの?」

「は?殺す?戦闘狂の侵略者じゃねーんデスからそんなもんするわけねーデス。

発想が怖ぇデスよお前、大丈夫デスか?」

「あ、あぁ取り乱してすまん」

「取り乱す?ボーッと突っ立ってただけにしか見えなかったデスが」

しまった、あまりの出来事に俺は意識を別の宇宙に飛ばしてしまっていたらしい。

「全く、なんだか頼りねぇやつデスね。本当にこいつでいいデス?」

人の家に勝手に上がり込んでおいて言いたい放題のクラニー王女を尻目に

とりあえず俺はゆずを「なんでもないからとりあえず帰るように」と丸め込んだ。


 「おい、クラニーちゃん。何でお前らがここにいるんだ」

「よく聞いてくれましたデス!!!では、説明してやるデス!!エシリア!!

じゃなくてクラニーちゃんじゃねぇ!!王女デス!!」

「その前に着替えてきていいか?疲れそうだからせめて格好だけはリラックスさせてくれ。

あまり俺にとっていい話しではなさそうだからな」

クラニーちゃんを無視して俺はそう伝えた。

「むぅ、分かったデス。」

話の腰を折られ少しふてくされる王女を尻目に俺は自分の部屋に戻った。

ちょっと押しに弱すぎるんじゃないかこの子。


 「戻ったぞー。何してんだこいつ」

俺の目に熱心にテレビを見る王女が映り込んだ。

それはいいんだが、何見てんだこいつ。

「お!戻ったデスか!!おせーデス!!」

「お戻りになりましたか、お疲れ様でございます。

これですか?クラニー王女が地球の文化を勉強するために用意させて頂いた

THE HENTAI アニメーションです」

「そうデス!!スゲーデス!!感動したデス!!!

感度3000倍に耐えるなんて中々出来るもんじゃねーデス!!

見上げた根性デス!!!!」

「それはそういう見方をするものじゃないと思うんだが。

じゃなくて!!ここでそういうの見るのはやめてくれ!!!」

「え?何でデス?おもしれーからいいじゃねーかデス」

不思議そうなクラニー王女を無視して俺はテレビの電源を切った。

どっから入手したんだこんなもん。

「つまんねーやつデス。まぁいいデス」

ようやく落ち着いて話しが出来そうだ。

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