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ラッキースケベは単なる発作

 「あの~、どうして驚いてないんデス……」

昼休みになったら残念そうなクラニーちゃんがそこに居た。

「だって、朝からあんなにキラキラそわそわしてたらさ、

なんかあると思うだろ」

「んな!?ワタシそんなだったデス!?!?」

予想に反して驚くクラニーちゃんであった。

「私もなんかそうなのかな~って思ってたよ~」

「ぐぅッ!?オメーにまで!!!」

「あ!ちょっと~失礼な感じ!?」

ゆずにまで、というかどっちも変わらないと思うのだけれど。

「ぐぬぬ……私のレッドカーペットへの夢もまだまだということデスか……」

「待て待て、いつそんな夢を抱いていたことになってたんだ」

「はぁ、同じクラスになるとこまではいい具合だったデスのに。

普通転入生は顔見知りの隣の席と相場が決まってるデス、それをあの与次郎とかいうヤツ」

「ヤツとか言うな、一応俺達の担任なんだ。

容姿とたまに奇怪な行動が目立つけどあれでいい教師なんだぜ」


 「いいですか!クラニーちゃん!

いくら他の星から来た王女様とはいえこの学園の生徒であり

私のクラスになったからには特別扱いはしませんからね!!

一人の人間である前に一人の教師!一人の教師である前に一人の女なこの私です!」

「そ、それはそうとオメーは何で前ボタンを全開にしてるデスカ……?」

「まぁ、それは置いといて」

「置いておけるような状態ではない気がするデスが」

「仕方ないですね」

「仕方なくは無いと思うデス」

「はい、これでいいですね!そういうことですから!

悩みがあったらいつでも先生のところに来て下さい!先生はいつでも待っていますからね!」

そう言いながら与次郎先生はクラニーちゃんの頭をくしゃくしゃと撫でる。

もしかして自分より小さい生徒が出来て余計に嬉しいんじゃないだろうか。

「悩みを待つのは如何なものかと思うデス。

っていうかワシャワシャすんなデス!セットが乱れるデス!!」

「あ、すみませんつい。私より小さい生徒なんて珍しいものですから」

「ち、小さい……?」

「はい!!無駄話はおしまい!!いいですね!!

では、クラニーさんの席はそこで!」

「はぁ!?こういう時は心細い転入生の隣に顔見知りを選ぶもんデス!!

ちょっと予定が狂うデス!!異議アリ!!異議アリデス!!!」

「異論は認めません!空いてる席があそこしか無いんだから仕方ないじゃないですか」

「そうは言っても……うぅ」

相変わらず弱いな。

「皆さんも他の星の生活について教えて欲しいことなんかがあれば

是非クラニーさんから学んで下さい!それではHRを終了します。また後で~」

そう言いながら教室を出ていく与次郎先生であった。

対してクラニーちゃんは何やら不満気だ、

あんまり文句言うとエシリアさんにシバカれるんじゃないだろうか。


 「まぁ芯の通っているいい教師に当たるとは思いますガ。

とはいえ何故シャツのボタンを全開にしていたのか疑問が残るデス。

あれはこの社会で言うセクハラというやつだと思うデス」

「あぁ……あれは与次郎先生独特の発作みたいなものだから気にしなくていい。

俺も気にしない、皆も気にしていないんだ。そういうものだと理解してくれたら助かるよ」

しかしいつか事案になりそうな、女性だからどうなんだその辺。

女性だから許されるとかそういうものでも無い気はするんだが。

「そういうことなら敢えてどうにかしようとはしないデス」

「私達も温かい目で一滴一滴見つめるんだよ~」

「ちょっと意味がわかんねーデス。

ところで」

「ん?」

「私は学食というやつに興味があるデス!!!

こんなところでくっちゃべってねーでお昼ごはんをいただくデス!!」

キラッキラだなおい。


 「ほえ~、B級グルメとはこのことデスね!!」

「調理してくれる人に悪い~、いや悪いのか?格式高い高級レストランってわけでもないしな」

「そういうことデス!ここにはここの良さってもんがあるデス!

味わいぶけ~デス~」

「確かに」

意外とこういう庶民的なものに憧れでもあったのだろうか。

そうは見えなかったんだけどな。

「この食券機で先に払ってから渡せばいいよ」

一応説明しておいた。

「私は何にしようかな~、八代さんも誘ったんだけどお弁当なんだって~。

あ、お蕎麦にしよっかな。ざるそば~」

「ま、まぁ八代さんはな。はは……」

彼女も独特な発作持ちである。

「しっかりしてるよね~、自分でお弁当も作ってるし。

アルバイトもしてるんだって、自分でお金稼いで工面するって偉いなぁ。

見習わないとさ~」

「ん、確かに。いずれは俺達もそうしなければいけないんだよな。

そう考えると八代さんは誰より先のことを考えているのかもな」

「も~、どうでもいいデス!私はこのきつねうどんとやらにするデス!!

早くお金を入れるデス!」

「お前……持ってきてないのか」

「当然デス!こういうのは家長であるシーナが払うデス!!

私はお金を持つのをエシリアから禁止されてるデス!!」

「偉そうに言うことじゃないだろ……」

なるほど、エシリアさんね。

道理で顔を出さないはずだった、仕方がない。

「はぁ、次からは先に言ってくれよ。

じゃあ俺は唐揚げ定食にしようかな」

「うわ!ベタ!ベタデス!!セオリー通りの男がここにいるデス!!

面白みがねーデス!!」

「うるさいな!唐揚げ好きなんだからいいだろ!!

セオリーって何だよ!」

騒ぎながら注文する俺達だった。


 「しかしクラニーちゃん箸使うの上手だよね。練習してたの?」

「ん、ちゅるちゅる。宇宙船で暇だったからちょっと練習してたデス。

それより前から日本食にワタシは興味があったデスから。

郷に入っては郷に従えじゃないですけど、日本食に対して失礼の無いようにしたかったデス」

「ナルホド、器用なんだな」

「しかし、謎デス」

「何が?」

「普通こんな美少女が転入してきたら大騒ぎになるはずデス。

なのにワタシあんまり目立ってない気がするデス。

おっかしいデス、この学園の人間は変デス」

「時期を考えると話題にならないってことも無いとは思うんだけどな」

美少女というのは敢えて否定しない。

それに、ちょっとロリすぎるというのもあるのではないかというのは黙っておこうか。

「あ~、私それ知ってるかも~」

「え?」

「なんだかね、友達が言ってたけどすっごい美人さんの教師も一緒に転入してきたんだって~。

この場合は転勤かな~?

皆そっちに先に行ってるんじゃないかなって思うんだよね~。

クラニーちゃんと同じ、だからエシリアさんなんだろうけどね~」

「な……エシリアのヤツ、ワタシを差し置いて……」

「なるほど、そりゃエシリアさんならそうなるか」

「う~、納得いかねーデス!!そりゃエシリアは美人デスし、出るとこも出てますけど。

なんかワタシが勝ってるトコが思い当たらない気が。

いやでも、王女デスし!?未完のボディの芸術性だって評価出来るはずデス!!」

「ちょっと強引すぎるんじゃないかなそれ」

未完って認めちゃうんだ。

「悔しいデス~!予定と違うデス~!!!」

「まぁまぁ、予定通りいかないからこその予定でもあるわけだからね?」

「そうだよ~、それがクラニーちゃんの魅力を否定するってわけじゃないんだからさ~。

ってこれは前も話したか~、あはは」

「慰めの言葉なんていらねーデス、どうせロリデス。マニアックデス。

ちゅるちゅるデス」

「白スク水を喜んで着る人が何を言ってもだと思うんだが」

「あ、アレはオメーを労うために仕方なくデス!!勘違いすんな!デス!!」

「はは、照れるな照れるな。

でも賑やかになって良かったよ、おかげでこんなに楽しい、美味しい」

「な!!オメーはすぐそうやって……」

「私もそう思うよ~、クラニーちゃんこれから宜しくね!」

「お、おう……デス」

照れるクラニーちゃんと一緒に食事を楽しんでいたのだった。

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