第二話
「あー、あのハゲまじで話なげーわー」
「君!校長先生のことをその様に言っては駄目だろう」
「誰も校長だとは言ってねえだろ」
「う”...」
言葉に詰まったこいつを見るとやはりこいつにも長く感じたようだ
「しかし!素晴らしい話だったぞ!特にマリアンナの余生の所では」
「はいはい」
でもこういうやつは嫌いではない。めんどくさいし好きでもないけど。うざい女子とかよりずっとましだ
「ところで君。名前はなんていうんだ」
「は?なんで」
「いや、クラスメイトの名前ぐらい普通覚えるだろう」
アタシは一年生の時全員の名前は覚えきれなかったけどね
「…蕪坂いろは」
「いい名前だな。俺は日暮賢一だ。よろしく」
聞いてないんだけどなー。まあ別にいいや、これからあまり話すことも無いだろうし
アタシは席を立つ。
「どこ行くんだ?」
「ピアス取りに行く。次体育だし。」
「そうか!納得してくれたんだな!」
「ちがうよばーか」
一人で感動している日暮に悪態をついてトイレに行く。
しかしあいつ意外だったな。あんなに馬鹿そうなのに学年で主席だったんだな。意外と頭いいのか?いや、性格面ではバカか。
教室に帰るとあいつの周りに人だかりができていた。あいつが笑顔でいるのを見るとマイナスの方ではないらしい
「ばかばかしい」
アタシは体育館へと急いだ
準備運動もそこそこに、マットの授業が始まった
「よっ…と」
運動は苦手ではない。簡単な技をやってみると先生からはA評価をもらえた。そこんとこは平等に見てくれるのね
すると、うぉぉおお!!!とかキャーーー!!!とかいう叫びが聞こえた。みると日暮がバク転やらなんやらを決めていた。
「文武両道かよ…」
あれは人間の動きではない。きっと日暮は化け物だったのだろう。ちなみにあいつはS+だった
「蕪坂さん!」
「うぁっ!何!?」
日暮が凄い笑顔で話しかけてきた。
「蕪坂さんは運動神経がいいんだな。少し驚いた」
「あ、あんたに言われても嫌味にしか聞こえませんけど…?」
そう言うと図体に似合わない様子で「すまない…」とシュンとしていた。ああ、なんか犬を思い出す
「ま、まぁ…ありがと」
あー、わっかりやすいぐらい喜んでら。なんか毒気抜かれるわー
というかさ、さっきから女子の視線が痛いんだよねー。まあこいつ優秀だし、綺麗な顔してるし、モテそうだよな。
めんどくさい事にしたくないし、ちょっと距離おくか
「どこ行くんだ?」
「別に。一人になりたいだけ。ほら、昼休み。アタシ、こういう時一人になりたいの」
「そうか、またな!」
あー、まぶし