表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

怖い女の子

穂美ちゃんに案内され、楠田君の彼女の教室につくと、ある女の子が教室から出ようとしていた。



彼女はふわりと微笑むと長く艶のある、漆黒の髪をなびかせ、その長く綺麗な足で優雅に教室を出ていった。



「び、美少女だ…」


「あの人は新川(しんかわ) 裕弓(ゆうみ)さんだよ」



私達の前を彼女を通り過ぎると、柔らかい香水の香りが微かに残った。



「あの人が楠田君の彼女…」



思ってたよりもすんごい綺麗だった…。

いや、でもライバルがどれだけ手強そうでも一歩引いてたら勝てるわけない!ここは強気に…



「でもでもっ、私負けなーーー」



「あ、あの人だよ」




私が固い決意を口にしようとした瞬間、ある人が私の視界に入った。



「あの人が楠田君の彼女だよ」



穂美ちゃんが指さしたのは、茶髪のワンレンボブに、背の高い、ちょっと性格がきつそうな女の子。その子は女子に囲まれ、真剣な顔で何か話している。




「えっ、あの子?!」




どうやら楠田君の彼女は、さっき通ったやわらかい雰囲気の美少女とは正反対のあの気の強そうな女の子らしい。



可愛いのは可愛いけど…さっきの子に比べたら…



「ふ、ふーん…」


「足立さん、顔が緩んでるよ?」




楠田君略奪できちゃうかも…むふふ。



だって、あの子が彼女だと疲れそうじゃん。


彼女とは男にとって最高の癒しの存在でなきゃ。




そういう点では私は負けてない!




「あの子の名前は?」




「石川 竜美 (いしかわ たつみ)さんだよ」



「…よし。



ねえ、石川 竜美さん!!!!」



「ちょ、足立さん?!?」




私は、穂美ちゃんから名前を聞くと、すぐさま大きな声で彼女の名前を呼んだ。




女子に囲まれていた石川さんは私に気づき、怪訝な顔をして教室からでてきた。



「…私に何か用??」



私の目の前に立った石川さんは思ったよりも背が高く、少し威圧感を感じた。


「ちょっと足立さん…見るだけじゃないの?ここまではやばい気が…」

「私、昨日転校してきた足立美命です!」


穂美ちゃんが何か小声で囁いているけれど気にせず続ける。


「私はあなたの彼氏の楠田君が大大大好きです!!」




その瞬間、今まで私を怪しげに見ていた彼女の表情が一転する。


「…は????」



「だから、私はあなたから楠田君の彼女の座を奪います!覚悟しててね!!!」



彼女はぽかーんと口を開けて何も言ってこない。



どうやら言葉もないらしい。



「じゃ、さようなら!」




私は元気よく挨拶すると、ちゃんと深々と頭を下げてから石川さんにお別れをした。




「ふふふ、上出来上出来♪」




上手く宣戦布告ができてご機嫌な私の横で、穂美ちゃんが青ざめていたことを私はしらない。




「…一体これからどうなっちゃうの…?!!」





波乱な高校生活のスタートです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ