彼女に会いに行こう
「足立さん、次移動教室だから案内するよ」
「あ、うん!ありがとう!」
「足立さん、この学校について知りたいことがあったらなんでも聞いてね」
「ありがとう!」
「足立さん、お弁当一緒に食べようよ!」
「う、うん!!」
「足立さん、今日学校が終わったら…ーーー」
昨日、楠田君に彼女がいると知り、更に恋愛成就への炎を燃やした私であったが…
「ぜ、全然話しかける暇がない…」
嬉しいことにクラスのみんなが私のことを気にしてくれているみたいで1日中誰かが話しかけてくる。
おかげでこの学校に来て二日目にしてクラスの人ほぼ全員と仲良くなれたし、これからの学校生活は充分楽しめそうなのだけど…
肝心の楠田君と全く話せない!
楠田君の彼女がどんな子なのかも気になるし…
「ねえ、足立さん」
「あ、はい!何!!」
この子は穂美ちゃん。
私がこのクラスの中で1番気が合いそうだと思った子。
「昨日、楠田君のこと好きって言ってたけど本当??」
びく
も、もしかして穂美ちゃんが…
「穂美ちゃんが楠田君の彼女…??」
「え!ち、違うよ!!
あれ、足立さん楠田君に彼女がいること知ってたの?」
なんだ、良かった。
友達候補の穂美ちゃんが楠田君の彼女だったら波乱の予感しかなかったから…一安心!
「うん!昨日聞いた!」
「なんだ、そうなんだね。
私てっきり知らないのかと思って。
だから、先に教えてあげようと思ったんだけど…あ、どの子かは聞いた?」
「ううん、それ知りたい!!!!!」
「あ、うん…教えてあげるから…足立さん近い…」
興味のあまり、思わず乗り出してしまった。
「ああ、ごめんごめん。」
「5組だからこの階の上だよ。見に行く?」
「いく!」
穂美ちゃんが私を彼女の所まで連れていってくれるみたいだ。
「それにしても足立さん、彼女がいるって知ったのに全然凹んでないね。」
「聞いた時はショックだったけど、今は普通だよ?あれだけかっこいいだから彼女いない方が変だし!」
「へ、へぇ~…」
穂美ちゃんはちょっと引いているようだった。
「足立さんってほんとポジティブなんだね。
なんか応援したくなっちゃう!」
「ほんと!?穂美ちゃん!!」
にっこり笑う穂美ちゃん。
おお、記念すべき、私と楠田君の恋を応援してくれる人第一号!
「でも、彼女持ちだから辛いこととかよく思わない人はきっとでてくるよね…がんばって!」
「うん!!」
穂美ちゃんが応援してくれたこともあって、私はおかしいながらもルンルン気分で好きな人の彼女に会いに行った。