楠田君
「なあなあ、転校生まじで可愛くない!?うちのクラス当たりだな」
「…そうか?」
「うわ、お前…クールぶってんなよっ!どうせお前も可愛い転校生がきてあがってんだろ?」
そう言って信也は俺を腕でつついてくるがどう見ても転校生が来てテンション上がってんのはお前だろ。
「…俺彼女いるし、ほかの女子に興味無い」
「うっわぁーー…」
信也は俺を蔑むような目でいる。
「これだからリア充は…そしてイケメンは…!
なんでお前ばっかりいい思いするんだよ~」
「…てかさ、さっきからあの転校生俺達の方ずっと見てね?」
ホームルームの時からずっと目が合うんだが。
俺なんかした?
「え、うそ!俺かな?俺のこと見てんのかな??」
「…。」
こいつに言うんじゃなかった…。
チラリ、と相変わらずの視線を送り続けてくる転校生を見る。
昨日のLHRでうちのクラスに女子の転校生が来るという知らせを聞いてクラスの男子は沸きに沸いていた。
そして、実際転校生に会ってみると本当に可愛く(らしい、俺はそんなに思わない)、今みんなが心の中でガッツポーズしているだろう。
女子達も、今転校生の周りに人だかりができていることから分かるように、やはり転校生という存在は目新しく嬉しいらしい。
このクラスに慣れるのも時間の問題か、良かったな転校生。
…と、思ったのだが…
「足立さん、五十嵐学園から転校してきたんだよね?なんであんな頭良いとこからこんなフッツーの学校に来たの?」
「フッツーのって…笑まあ確かにそうだけど…」
「…会いたい人がいて。」
クラスの奴らに話しかけられているにも関わらずそいつらには目も向けない。
ただひたすら俺の方を見る彼女。
おいおい、人が話してる時はその人の方を見るって習わなかったか?
「え!会いたい人?!うちの学校に?!だれだれー!」
「もしかして好きな人とか?!きゃー」
なんだか、あっちは盛り上がっているようだが何を話しているかはよく聞こえない。
「うん、そうなの。」
「「え…!」」
まじで!
そんな声が聞こえたと思ったら、輪の中にいた転校生がいきなり席を立った。
「どうしたの?足立さん?」
「…私は…」
クラス中の視線が転校生に集まる。
「楠田君のことが好きで
会いたくてこの学校にきたの!!!」
しーーん
「…。」
突然の公開告白に当たりは沈黙に包まれた。
そして…
「え、楠田って」
「楠田君ってもしかして…」
「「「ええええええ~!?!!」」」
次の瞬間、驚きの叫び声が広がった。
「…楠田ってだれ?」
楠田浩之side終わり