第7話 謁見する事になりました!
何て言うかギャップが凄すぎる。
科学的な建造物である空港とか街とかあるくせに何でお城があるのよ?
在っても洋館ぐらいでしょ?
なんでお城なの?
意味わからん! 意味わからん!
「ヨシト、落ち着きなさい。」
俺が変なのレアイナさん!? だっておかしいよ!?
こんな城建てて維持管理にどれぐらいかかるとお思いですか!?
そうこう言い争ううちに謁見の時間となりました。
「面を上げてください。」
この言葉を受けて顔を上げてみる。
それなりに年季の入ったおばちゃんが目の前に居た。
頭にはレアイナさんと同じ狐耳がある。
ただし場所が何というか広間では無く王女の私室とでも言うか執務室と言うか。
とにかく玉座があって偉そうなおっさんどもがふんぞり返るっていう絵面は拝まなくても良いようで何より。
王女様も予想よりおばちゃんで話しやすそう。
きっと純血種なんて俺の立場を考えてこの場を用意してくれたんだろうな・・・。
この王女様は若い頃はモテたんだろうなぁ。
美人と言うよりカッコいいって言葉が当てはまりそうだけど。
そんな王女様です。
・・・あれ? じゃあこのおばちゃんも昔は醜女みたいに言われてたのかな?
気になる・・・。
そんな阿呆な事を考えていたから王女様とレアイナさんの会話に置いていかれた。
レアイナさんは「何やってるのよ・・・!」と言わんばかりにこっちを睨んでいる。
王女様は気にする事なくもう一度説明をしてくれた。
ホント良い人。
「まずヨシト様の身分はメルフィル王国で戸籍を至急作り速やかにこの国の国民になっていただきます。その際に生じるあらゆる不便に対し出来るだけ便宜を図ります。何せその自由の身を縛るのですから相応の立場もご用意します。よほど道理に合わない事でなければ要求は受け入れます。他に何かご質問は?」
なんかスゲー立場を用意されたんだけど・・・。良いの?
「正直に言うと他の国に純血種を渡したくないというのが本音です。私の国は特に男子の出生率が低くなってきていて国民の八割以上が女性と言う事態です。妊娠率も非常に低いため国民の数が増えにくい状態なのです。そこに純血種の方がいらっしゃったのです。御存知無いかもしれませんが純血種の方で女性ならば非常に妊娠しやすく、男性ならば私達遺伝子組み換えをしたデミヒューマンを妊娠させやすいのです。特に男子の出生率が高いのです。その為にこの惑星イウーロでは純血種の男性の方には一夫多妻制度が強制されます。ヨシトさんも気に入った女性が居たら是非声をかけて沢山の子を儲けてください。」
うわぁー。王女様の承認でハーレム作る様に言われちゃった・・・。
思い切って聞いてみようかなぁ・・・。
「何か聞きたい事でも?」
顔に出てましたか? 実は気になっていた事があるんです。
何でレアイナさんたちはあんなに不遇な目に遭うんですか?
明らかに差別だと思うんですけど?
何より醜女部隊って呼び名が気に入りません。
「話には聞いていましたが本当に地球が現存して居た頃の知識をお持ちなのですね。常識もそれに倣っているようですし。・・・レアイナ達は本来もっと過酷な立場だったのです。」
え? つまり今は改善された後って事? この状態で?
レアイナさん! 本当なの!?
「・・・。」
なんで答えてくれないの!
「ヨシト様、落ち着いてください。説明を続けますから・・・。」
・・・そうだよね。ここでレアイナさんに当たってもしょうがないよね・・・。
「そうですねぇ、まずは女性の何を以て美人か醜女か判断するかご存知ですか?」
いえ。全く分かりません。
「胸の大きさです。」
・・・はい?
「ですから胸の大きさで美人か醜女かが決まるんです。」
はいぃ!?
「レアイナのように大きすぎると男性を誑かすはしたない女としてとにかく蔑ろにされるのです。逆に小さすぎても駄目です。今度は子を授かっても育てられないだろうとこちらも同様に蔑ろにされるのです。この差別意識は長年にわたってこの星を支配してきました。その為レアイナ達のように一度醜女の烙印を押されると日常生活にまで支障がきたすのです。簡単に言うと就職が出来ないのです。そのような女性を職場に置いておくと外聞が悪いとしてどこも雇ってはくれません。私はこの不憫な姪を助けるために軍に居場所を作りました。一種の駆け込み寺です。」
それが特務隊ですか?
「はい、そうです。」
おかしいですよ! 胸の大きさだけでそんな差別は!
なんでそんな事になっているんですか!
レアイナさん達が何したって言うんですか!
「ヨシト! 落ち着いて!」
レアイナさんはこれでいいんですか!
イリーナさんを探索に行けなくって凄く後悔していたじゃないですか!
「そ、それは・・・。」
「大始祖様の所為なんですよ・・・。」
誰です!? そいつ!?
「初めてデミヒューマンになった方です・・・。この方が女性の美を決めたようなものです。何人もの女性を上手く侍らかす為に差別を率先して行ったのです。その差別に個人的な嗜好が多分に含まれていたと思われます。そんな人物が我が物顔で長年イウーロの頂点に君臨していたために女性像が歪んでしまったのです。胸の大きな女性は恰幅がいいので嫌いだと言い放っていたと聞いております。それとは逆に胸の小さい女性は伽をするときつまらんと言っていたと記録にあります。だから胸のサイズがちょうどいい女性以外は自分の家には置いておけないと言って敬遠していたそうです。」
なんじゃそりゃあぁぁぁぁぁ!!
「この大始祖の差別意識が今も残っているのです。ヨシト様から見れば人の価値をそれだけで決める愚かな行為と断じるでしょうがこのイウーロではこの考えが常識なのです。」
・・・ひょっとして王女様はそれを払拭したいがためにも特務隊に期待をしていたとか?
「はい、その通りです。しかし現実はさらに過酷でした。そこでもやはり差別が起こりました。そんな中で希望が生まれました。」
それが俺ですか?
「はい、そうです。」
・・・俺に何が出来ます?
「特務隊を率いて差別を受ける女性を率先して受け入れ欲しいのです。後は公平にかつ盛大に資金援助が出来るような手柄を取って来てもらいたいと考えております。」
いきなりハードルが高いですね。
「無茶は承知しております。ですが皆から醜女の烙印を押された女性を差別することなく受け入れてくれそうなのはヨシト様しかこの国には居りません。その為には私からも出来るだけ援助します。」
・・・レアイナさん。
「なに?」
俺が特務隊を率いると不味いかな?
「! そんな事はないわ!」
よし! じゃあ、いっちょやりますか!
「軍には私から言い聞かせます。純血種が一軍を率いるのは非常に稀有な例ですが絶対に不可能と言う訳ではありません。それにヨシト様が矢面に立てば差別的な言葉や暴力、横槍を入れる事など出来なくなります。」
純血種に余計な事を言ったり、粉かけたりして機嫌を損ねてそっぽを向かれると困る連中がいっぱいいるという事ですね。
「ご理解が早くて助かります。」
よし! 俺のハーレムの目標が決まった!
女性差別の撤廃だ!