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第3話 俺、ケモナーになります!

エクセリオンに到着してからイリーナさんに滅茶苦茶質問攻めにされた。

「今まで何処にいらっしゃったのですか!?」

「この様な戦艦を個人でどうして所持することが出来るのですか!?」

「他に純血種の方は居られないのですか!?」

などなど。

矢継ぎ早に質問された。

答える暇すら与えてくれねぇんだもん。

それでも何とかこちらも質問した。

あの狭いところで四日も過ごすとかマジ有りえない。

「興奮しないで。落ち着いて? ね? 俺は逃げないから。ね? とりあえずシャワーを浴びてすっきりしてから色々と話そうよ?」

女性免疫ゼロの俺にとってこんな美人の顔をすぐ傍で見るとは考えた事もありませんでした。

なんかすんごくいい匂いがした。

俺、匂いフェチじゃないよな?

とりあえずイリーナさんをシャワー室に案内してアルに女性用の制服かなんか準備してもらおう。



久しぶりのシャワーを浴びてスッキリしたのだろう。

何処か生き生きとしている。

制服も似合ってる。

つーか、胸どんだけ大きいの!?

美人で胸が大きいなんて俺の理想だよ!

ウェストも細!

拝みたくなる。

ちょっと見とれてるといきなりお辞儀をして来た。

「先ほどは純血種の方に対して大変無礼な態度を取ってしまい申し訳ございません。平にご容赦ください。」

え? あれ? 俺の立場って実は上なの? そんな態度取らないで仲良くしようよ!

「えっと、面を上げてください。そんな姿勢だと疲れるでしょう? さっきまでのイリーナさんの方が自然で素敵でしたよ? だから体を起こしてください。」

そう言って顔を上げると顔が憂いを帯びている。

頭の耳も元気が無い。

何! この可愛いい人!

「とりあえず情報交換しませんか?」

俺のバカぁぁぁぁぁぁぁぁ!

もっと気の利いたセリフとか言えよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

悶える俺が面白かったのだろう。

イリーナさんがクスリと笑ってくれた。

やっべぇ! すんげぇ嬉しい!



どちらかと言うと情報交換では無く、一方的に情報を搾取した感が強い。

だって俺、なんも知らねぇんだもん。

イリーナさんの鈴のなるような声を聞いてるだけで幸せなんだもん。

・・・ちゃんと内容は聞いて覚えてるよ?

地球が五百年以上前に資源の枯渇やら大気汚染やらで住めなくなり地球人が絶滅したこと。

それでも生き残った人たちは当然居た訳で宇宙船で宇宙を彷徨う旅に出た。

何年も何十年も彷徨い人間が住めそうな星を探して辿り着いたのがイリーナさんたちがいる惑星イウーロと言うわけだ。

だからイリーナさんたちは間違いなく地球人の子孫なのだ。

苛酷な環境下でも生き抜けるように遺伝子組み換えを行い動物の遺伝子を組み込んだとの事。

それに対して遺伝子組み換えをしていない人を純血種って呼ぶとの事。

結果として生きていける様になったが弊害も見受けられた。

なんと女子の出生率が異常に高いのだ。

どんなに低くても七割を下回る事が無いそうだ。

すごく高い時だと九割にまでなるとの事。

じゃあ女性上位社会なのかと言うと必ずしもそうでは無いらしい。

何せ男が異常に少ない。

その為男性の意見が比較的尊重されやすいとの事。

まぁ、はっきり言うとモテるんだね。

他にもイリーナさん曰く俺の様な純血種は子孫を残しやすいとの事。

今でも精液バンクなる物があり、王族の一部が体外受精により人工妊娠することで俺の様な純血種モドキを産んでるとの事。

何それ。怖い。

他にも色々と教えてくれた。嫌な顔一つせず。

俺の嫁ちゃんになってくれねぇかな・・・。

阿呆な事考えないでちゃんと聞こう。

「えっと、じゃあイリーナさん達がいる惑星イウーロに居る人たちは皆何らかの遺伝子操作を受けて動物の耳を生やしていると?」

「はい、加えて言うならヨシトさんの様な純血種の方は基本王族と同等の権限を持っていますから気を付けた方が良いですよ?」

えっと具体的には?

「例えばですけど晩餐会などで何気なく女性の名前を聞いたとします。」

うんうん。

「そうすると気に入られたと思ってその日に夜這いされます。」

うん?

「例えば社会的保障の高さがあります。たまに先祖返りで純血種の方を御産みになられる方がいます。そうすると手厚く保護されます。」

・・・ちょっと待って!

「それって種馬・・・。」

「! いえ! 決してそんな意味で言ったのではありません!」

必死になって言葉を紡ぐイリーナさん可愛いわ。

「ただ、子孫を残すという意味では純血種の方と交わった方が妊娠しやすいというデータはあります。特に男性の出生率は非常に高いです。その為に純血種の方は一夫多妻制度が強制されるのです。」

えっと、今なんて言った?

「今、聞き間違えでなければ一夫多妻と仰いましたか?」

嘘だよねぇ。そんな都合の良いものがある訳ねぇよねぇ。

「イウーロでは常識ですが?」

俺、今日からケモナーになります!



色々と分かって来たぞ。

俺がどうしてここに飛ばされたかは未だ分からんが、とりあえずイリーナさんの力にはなろう。イウーロのメルフィル王国は聞けば日本に近い社会構造みたいだし、イリーナさんですら尻込みする美人の多い国との事だし、何といってもハーレムがある! 彼女いない歴イコール年齢だった俺にも春が来る可能性が極めて高い! 多少打算込でも可! 美人のお嫁さんたちに囲まれての生活ですよ! なんて夢の様な話なんでしょう!

獣耳があんなに可愛いなんて知らなかった!

何でもイリーナさんにはお姉さんと妹さんもいるとの事。

きっとイリーナさんに似て美人何だろうなぁ。

おっし! 気合入れて頑張ろう!



でも、何からしたらいいんだ?



「あれ? ここにもいない?」

イリーナさんに出来ればメルフィル王国でお世話になりたいのでどうすればいいかを聞こうとしたら何処にもいない。探しに探してやっとある事に思いつく。

「アル! イリーナさん何処にいるの?」

何で気が付かなかったんだろう・・・。

「格納庫でイリーナ嬢の機体の中に居ます。」

・・・そうですか。



「イリーナさん!」

アシガルのコクピットに向かい声をはりあげる。

そうするとひょっこりイリーナさんの顔が現れる。

「そっち行っていいですか?」

「はい、来てください。」

やった! 狭いコクピットなら自然にくっ付く事が出来るぞ!

そしてアシガルの中に入れてもらったがなんか違和感がある。

あっ! モニターだ! モニターが狭いんだ!

他にも色々と突っ込みどころがある。

何でこんな旧式の操縦桿なの?

操縦席のパイロット保護のための装置が全くないのは何故?

何より機体の装甲が薄いし、素材が悪い。

少なくとも俺のアシガルで一番弱いヴァージョンでもこいつよりははるかに性能が上だ。

? 何でこんな事が俺分かるんだ?

まぁ、いいや。

とにかく今はイリーナさんに俺の意見を伝えよう。

「俺、惑星イウーロのメルフィル王国の世話になりたいんですけど、どうしたらいいですか?」

あれ? イリーナさんなんで悲しそうな顔になってるの? え? 俺、地雷踏んだ?

「あの、え、ひょっとしてご迷惑ですか!?」

「違うんです! ヨシトさんがメルフィル王国に来たらきっと私なんか傍に居られないと思って・・・。」

くはぁ! 何この桃色な言葉!? 俺、自惚れていいよね? いいよね?

「俺はイリーナさんのお世話になりたいです。」

この言葉を聞いた瞬間イリーナさんの耳がパタパタ動く。

嬉しいって意味でOK?

可愛いわ。ホンマ可愛いわ。

俺、もう立派なケモナーだわ!



とりあえずそんな桃色妄想は隣に置いといて、イリーナさんが何をしているのか聞いておこう。

「ひょっとして機体状況の確認ですか?」

「はい、この子とはずっと一緒に戦って来ましたから・・・。直せるなら直したいと思いまして・・・。でも、無理そうです・・・。」

うーむ、イリーナさんがこんなに悲しむなんてここは俺の腕を見せてやる。

「ちょっと見せてもらっても良いですか?」

「? ええ。どうぞ。」

そう言って場所を変わる。

この時腕にすんごく柔らかい感触があった。

ラッキー!



真面目に見よう。

えーと、あー、フレームが逝かれてる。

それよりもプログラミングが酷い。

よくこんなので今まで生き残れたな。

プログラマーの腕がなるわ。

「イリーナさん。この機体のプログラムっていじっても大丈夫?」

「それは構いませんが・・・、え? いじるって機体のプログラムをですか?出来るんですか!? そのプログラムって国の専門職が入力するものすごく難しいプログラムですよ!? エースパイロットなら専属のプログラマーがいて調整しますが、それいじるなんて出来るんですか!?」

「・・・徹底的に改良しましょう! もうね、機体のフレームごと部品を総取り替えしましょう!」

「して頂けるのならこれほどありがたい事はありません! 家の部隊って結構貧乏ですから部品の補充にも事欠く次第で・・・。」

うーん、そうするとチタン合金あたりを使うか?

「じゃあ、装甲はチタン合金あたりを使いますか?」

「!! チタン合金なんてエース使用でないと使わせてくれませんよ!? 何で持ってるんですか!?」

おい、こらちょっと待て。

それ程驚くところじゃないぞ?

それだと俺がオリハルコン製の機体をいくつも持っているのを知ったらどんな反応するんだろう?

貴女の機体の隣にある俺のサムライだって同じチタンとセラミックの合金だぞ?

もういいや。

こっちでどんどん改良したれ!



「ホントにチタン合金で作り変えちゃった・・・。」

「一応前の機体の名残は残る様に使える部品は再利用しましたけどね。」

「・・・ヨシトさん、大事な事ですから正直に答えてください。ひょっとして精神感応金属製の機体をお持ちではありませんか?」

「せいしんかんのうきんぞく?」

「オリハルコンと言われているものです。」

「持ってますよ? 鬼神とか闘神とかいろいろと。」

なんの気負いも無く答えるとイリーナさんの表情が鈍る。

「見せて貰っても良いですか?」

何でこんなに食いつくんだろう?

俺より機体の方が大事なのかなぁ。

寂しい・・・。



アルに言ってとりあえず鬼神を準備して貰った。

イリーナさんは言葉も無くただ佇んでいる。

「これはどこまでオリハルコン製なのですか?」

「フレームも装甲も全部オリハルコン製だけど・・・。」

俺そっちのけで機体を凝視する。

・・・寂しいよ。

何を思ったかイリーナさんがこっちを向き手を取って真剣な顔つきになる。

「あの、イリーナさん?」

「この事は機密にしてください。」

「?」

「純血種の方でこれだけの機体と戦艦を持ちそれを扱う術にも長けている。間違いなく戦争の道具にされます。政争の道具にされます。私を適当なところで下ろしたらこの宙域から逃げてください。」

でもそうしたらイリーナさんの機体を誰が弄ったかってことで問題になるよ?

「私の事は良いんです!」

イリーナさんの激しい怒鳴り声を初めて聞いた。

びっくりしてると我に返ったイリーナさんが謝って来る。

「! す、すみません・・・。でも、なぜかヨシトさんはメルフィル王国に来てはいけないような気がするのです。」

俺が実験動物のように扱われるから?

「!? いえ、そんな事は・・・。」

もう、素直じゃないな。顔にそう書いてあるじゃん。

それに俺、実験動物になるのは経験あるし。

「!」

前に紛争地帯に飛行機が落ちたことがあるのよ。俺、その飛行機に乗っていて唯一の生存者。そんな異国民の俺を使って色々薬物の注射を受けて感情を剥がれて人殺しの道具にされたことがあったのよ。幸い俺は人に戻ることが出来たけどその副作用もきっちり貰っちゃったの。性欲が異常になるとか脳の機能が普通の人より多く使えてるとか良い事も悪い事もいっぱい貰ったの。

「・・・。」

だから気にしなさんな。

いよいよヤバくなったら一人でトンズラするから。

「・・・・・・。」

イリーナさん? 何で俺の胸に頭を擦り付けてるんですか?

すんげぇいい匂いがするのですが?

ちょっと、ホンのちょっとだけ自惚れますよ?

「えい!」

勇気を持ってイリーナさんの細いウェストの手を回した。

嫌がられない!

むしろ逆にオッパイまで押し付けて来た!

「分かりました。私に出来る事を全力でやってみます。ヨシトさんが安心して暮らせるように頑張ってみます!」

俺、ここに来て良かったぁぁぁぁぁぁぁぁ!

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