ことば
焼き直しって感じの作業だったので、ぎこちなくないか不安なんですが、投稿しちゃいます。
次回からはホントに真っさらスタートなので、どうなるか自分自身わかりません。
やっと話せたのに……もどかしい二人です。
河川敷から親水公園が続く。
梅雨の晴れ間を利用して、川向かいに広がる団地のベランダには布団がたくさん干されていて眩しい。
面積の広い白っぽさが並びまくってソーラーパネルかよ。って感じだ。
そういえば、彼女を見つめてどれくらい経ったんだ。
確かオレがここへ来たのは昼前ぐらいで、太陽の位置からしたら恐らく1時間程度ってところだろう。腕をあげて時計を見るのも怠い。
それに彼女に気づかれてしまう。なるべくじっとしていたかった。
すると、何を感じたのだろうか、すぅ~っと立ち上がって両腕を上に伸ばし、背伸びをしているようだ。
彼女は一瞬固まった。
しまった!オレに気がついたのだろう。少し頬を赤らめて、急いでしゃがみ込んでしまった。
何か話さなきゃって思えば思うほど、言葉が見つからない。
「大丈夫だよ。隠れなくても。オレの方こそゴメン。」
っていうかおい、何謝ってるんだ? オレ。
「いえ、こちらこそ。 すみません。」
一瞬だけどさっき背伸びをしていた姿は逆光になってキレイなシルエットで、瞼にやきついて忘れられない。
まるでなんかの占いのカードみたいな、アンティークな壁画みたいな、上手く言えないけどそんなふうに見えた。っていうかもう一度見てみたい。
それに一言だったけど僅かに聞こえた小さなその声は、とても耳に心地いい響きだった。風に話しかけている時と違って、少し緊張している感じがまたいい。
こんな風に感じるなんてオレらしくもないが、やっぱりもう一度彼女の声が聞きたい。
色んな衝動が頭の中を駆け巡った。
勢いなのか勇気なのか分からないが、とっさに口をついて言葉がとんでもない訳の分からない言葉で、オレ自身どうしようもないヤツだよな。っとつくづく嫌になった。
「もう一度、聞かせてくれないか?」
「は? えっと。」
ほらな、意味不明なこと聞くから迷っちゃってるじゃないか!
完全にオレ、ヘンなヤツだと思われてるよ。
何か言って会話を続けないと!
「ゴメン。イヤなんでもないんだ。気にしないでくれ。ただ、ただ。何ていうのかな、もう少しこのままでいさせて欲しいんだ。」
「はい。分かりました。」
戸惑いと恥じらいの入り混じったような声で返事をしてくれた。
ゆっくり交わされた言葉の間にも、頭の中では次は何を言おうか。何てきり出そうか。ぐるぐると言葉を巡らせていた。さながら十代のまだ青い頃みたいにドキドキしながら。
落ち着いて考えてみたっておかしな話だ。絶対フツーだったら知らない男に”このままでいさせて欲しいんだ”なんて言われたら、どんなヤツだって怪しいって思うはずだ。
うん。やっぱり聞くのは1つだろう。それが一番自然な流れだと思うしな。
「いきなりだけど、聞いてもいいかな?」
「誰と話していたか。ってことですか?」
「え?! いや、まあ、そうだけど。 風とだろ。」
「分かりましたかぁ。まあ、そうですよね。お恥ずかしいんですけど、忘れてください。」
恥ずかしい事? 彼女はそんなふうに思っていたのか。
全然恥ずかしい事じゃないのになあ。
確かに初めは不思議だな。っとは思ったけど、何故かイヤな気持ちじゃなかったし。
「いや。全然恥ずかしいことじゃないと思うぞ。むしろ、すごいと思うけど。」
「普段は心の中で聞いたりしているんですけど、ココだと自然と口にしちゃって。
ぜんぜんすごい事じゃないですよ。いい年してって感じですよねぇ。」
確かに恥ずかしいって思っていた事に対して正反対のスゴイ事なんて言われたらな。
しかし、いい年してなんてオレより5歳は確実に下に見える。学生だよな、たぶん、絶対。
「私も聞いていいですか?」
オレは逆に驚いたが、しっかりと頷いた。
「どうして聞かないんですか? 私がこうして話していること。」
「いや。別に。心地よかったから、かな。
それより明日、頑張れよな! よく分からないけど。何か頑張るんだろ?」
「はい? え? ///あっはい。でも、いいんです。別に大したことではないです。」
その後は、それこそ大した話はしないで軽く「じゃあ、また。」っと分かれた。
午後は挨拶周りに行ったけど、やはり頭のどこかで、全然初めて話す感じがしなかったのは何故だろうかっという事ばかり考えていた。
とりあえず、明日同じ時間同じ場所で彼女を待つことにしよう。
そうすれば謎が解けるはずだし。
名前だ。名前も聞いてなかった。
明日は名前を聞くところからはじめよう!
って何段取り考えてるんだよ。オレ。