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出会い

2年くらい前に書いて、他の作品を書いていたら、真っ白になってしまった作品です。

ですから、1、2話のベースは以前のままですが、改めて書き直して再スタートです。


どうも蒸暑くてイライラする。

だから、オレは梅雨はキライだ。


今日もいつもと変わらない毎日だ。

会社では禿げた上司に業績不振の憂さ晴らしにオレは怒鳴られる。

一通りの説教と午前中の打ち合わせを済ませると、挨拶回りと称して狭い箱を抜け出した。

どうせ同じ空間に居たって代わり映えしないグラフと睨めっこ。

ならば、お得意さん周りをして季節商材のPRをしに挨拶回りをしていた方が、よっぽどいいに決まっている。

サンプル商材とポスターが入ったダンボールを車に詰め込んで、マーキングした愛用の地図とケータイを持って出発だ。


型落ちの営業車を走らせると、ラヂオからは流行りのJ―POPが流れてくる。

鼻先でハミングしてみる。

メロディーだけは何度も耳にしているから覚えてるが、歌詞なんて知らない。

名前も思い出せない彼女の甲高い歌声は、オレには合わないらしい。何故ならこの蒸暑さを倍増させるからだ。

カーエアコンはかけているけど、走り出した車内はサウナ状態でステアリングも火傷するほど熱い。


腹がグゥっと鳴った。


県境にある大きな川の河川敷で昼にするか。川からの風がこんな日は気持ちがいい。

仕事なのはもったいない、自転車で河川敷を走り抜けたいくらいだ。

昼飯を調達してくると、早めのお昼を食べて土手に寝転がっていた。

そこでオレは不思議な彼女と出会った。

一見なんでもない風景なんだけれども、ジッと凝らしているとそれが分かった。


彼女が声なき会話をしているようだ。

その度に風が強く吹いたり、弱く吹いたり、あるいはピタリと止んだりするのだ。


初めは自分に

 大丈夫か、オレ。 今日は疲れているだけじゃないのか。

 錯覚、そう錯覚だ。 この蒸暑さのせいだ。 暑くておかしくなっちまったんだ、きっと。

なぁんて思おうとしていたのに、聞いてしまったんだ、その声を。




「ね~え~、風さんはどう思う? 明日話したほうがいいかしら。」


-------サワサワ~っと風は優しく吹き抜けていった-------


「やっぱりそう。仕方がないわねぇ。気合を入れていくしかないわね。ありがとう(*^o^*)」


-------ふわぁ~っと彼女の事を包むように風は吹き、止んだ-------


彼女は目をつむったままニッコリと笑って


「はいはい。明日、結果報告にここへ来ればいいんでしょう。分かりました。」


----再びふわぁ~っと吹いたかと思うと今度は、ボワァ~っと音を立てて勢いよく上昇気流のように吹き上げて、最後にはまた優しく流れるように吹いて去っていったように感じた-------




その間のオレの思考回路は「?」


の嵐だったのは言うまでもない。

頭の中では一生懸命理解しようとしているオレと

白昼夢の続きだから気にすることない。

と呼びかけるオレがいた。


寝転がったオレの左斜め上っていうのかな、そんなあたりにちょうどデカイ木があった。

その木の反対側に膝を抱えるように座った彼女は、宙を見上げていた。


たぶん15分かそこらだと思う。

気持ちよさそうに風をあおぐように目をつむったままの彼女にみとれているオレ。

そんなオレ自身を客観的に気づいたのと、今までのオレの生活には考えられないシーンすぎて固まってしまった。 


もう一人のオレが囁く。

今ここでピクリと動いたり、微かな物音でもたててしまったら、どうなるか分かっているよなぁ。この全ての状況を壊してしまうだろう。オレのせいでな!

 

背筋を冷たい何かが走った。

ただただこの瞬間を壊したくなくて、このまま見つめていたくて、そっとケータイを上着のポケットにしまい、マナーモードにした。っていうかそれがオレに出来る精一杯だったと思う。


よくよく考えてみると何故こんな行動をとったのか今になっても良く分からない。



さてさて、イメージばかり膨らんで手が追いつきません。

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