劣化版の優しさ
昔からよく優しいと言われて育ってきた。
自分では優しいつもりはなかったし、優しくなれているとも思えない。
けど何かしら優しいらしい。
ふと父親を思い出してみる。
優しい人だった。ねだった事はなんだかんだ言って一回はやってくれた。
けど優しいをやり続けるのは疲れるから、夜はよくパチンコへ行っていた。
子供の頃はわからなかったけど、子供に疲れて避難していたんだろう。
特に恨めしいとは思わないし、休憩しないとやってられないってていうのも今ならわかる。
何なら父親にべったりだったから、嫌いになる理由もなかった。
諸々を考えた、自分の優しさはきっと、父親から遺伝した、劣化版の優しさなんだって思う。
だって自分は、父親ほど優しくなれないから。
いつまでも越えられない山のような自然の優しさ。
たぶん意図して伝えたわけではない思考。
いつか自分は、父親のように優しくなれるんだろうか。
にべもなく、そんな事を考えてしまう。
でも、劣化版の優しさに満足している自分もいる。
繋がって、受け継げた宝物だから。




