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Office love♡私、2人に守られすぎてます!  作者: 亜久美 圭


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18/20

守られた夜。

「大丈夫ですか?」


久遠(くおん)真琴(まこと)をそっと抱え込むようにして椅子に座らせると、シャツの袖をまくり上げた。

露わになった腕は赤く腫れ、熱を帯びている。


「腫れてますね。かなり熱を持ってる……少し冷やしましょう」


そう言って冷蔵庫から氷を取り出し、袋に詰めると、腫れた腕にそっと押し当てた。


「……っ」


冷たさに肩がびくりと跳ねる。その刺激で、真琴はようやく現実に引き戻された。


「あ……ここ、どこ……?」


周囲を見回して、ようやく状況を理解する。

広く、落ち着いた色調でまとめられたリビング。洗練された家具が並び、若い男性の一人暮らしとは思えないほどの広さだった。


(私の部屋、何個分あるんだろう……)


そんなことをぼんやり考えていると、久遠が少し申し訳なさそうに口を開いた。


「神崎さん、怪我をされていたので……そのまま帰すわけにはいかないと思って。僕の家に連れてきました」


はっと我に返る。


「あ、ごめんね……迷惑かけて。すぐ帰るから……」


立ち上がろうとした瞬間、肩にそっと手が置かれた。


「今は無理しないでください。とにかく冷やしましょう」


淡々とした声なのに、その仕草はとても優しかった。


「……ごめんね」


「神崎さんは何も悪いことしてません。だから謝らないでください」


「……ありがとう」


それからしばらく、久遠は無言で腕を冷やし続けた。

どれくらい経っただろうか。彼が手を離す。


「腫れ、少し引いてきましたね。でも今日はなるべく動かさないでください」


「何から何まで……本当にありがとう」


久遠が時計に目をやる。


「もう遅いので……今日は泊まっていってください」


真琴は慌てて首を振った。

さすがに会社の後輩、しかも歳が離れているとはいえ、男性の一人暮らしの家に泊まることなんて出来ない。


「だ、大丈夫だよ。タクシーで帰れるし……」


「でも、今一人で帰るのは怖いでしょう?」


その言葉に、胸が詰まる。

また真吾が来たら……そんな不安がよぎる。


「……」


迷っていると、久遠が続けた。


「じゃあ僕がホテルに泊まります。神崎さんはここに」


「それはダメ!それこそ迷惑だから。私がホテル取るよ」


「怖い思いをされた方に、そんなことはさせられません」


真っ直ぐな視線に、言葉を失った。


「……分かった。じゃあ一晩だけ、泊めてください」


深く頭を下げると、久遠はほっとしたように微笑んだ。


「空いている部屋があります。遠慮しないでください」


「……久遠くん、本当にありがとう」


守ってくれて、手当てをしてくれて、こうして気遣ってくれる。

その優しさが胸に沁みた。


「よかったら先にお風呂どうぞ。服は僕のでよければ……新しいものです」


渡されたスウェットを受け取り、真琴は小さく頷いた。


「お言葉に甘えます……」




湯船に浸かりながら、ようやく張り詰めていた気持ちが緩んでいく。


(久遠郁人の家に、私がいる……)


その事実に、今さら緊張が込み上げる。

六歳も年下で、社内では「王子」と呼ばれるほどのイケメン。

そんな彼の家に、彼女でもない自分が泊まっているなんて。


(絶対人には言えない……)


お風呂も無駄に広い。

余計に落ち着かない。


着替えると、スウェットはやはりぶかぶかだった。

彼の細身の体を思い出して、余計に意識してしまう。


(ダメ……冷静に……)


「お風呂、お先しました」


リビングで待っていた久遠に声をかける。


「……あ、はい」


どこかぎこちない。


「久遠くん?」


「あ、すみません。僕も入ってきますので、ゆっくりしてください」


気のせいか、少し距離を取るような態度だった。



シャワーの音が聞こえる。

それだけで、心臓が落ち着かない。


広いリビングをぼんやり見渡す。

余計なもののない、整った空間。

彼の性格が表れているようだった。


しばらくして、久遠が戻ってくる。


「……っ」


思わず息を呑む。

濡れた髪にガウン姿。隙間から覗く、引き締まった体。


(……これは、反則)


顔が一気に熱くなる。


「少し飲みますか?ワインでいいですか?」


「……うん」


冷静でいられそうになかった。


「今日は本当にありがとう」


「今の家……引っ越した方がいいかもしれませんね」


「うん……そうする」


気まずさを誤魔化すように、ワインを口に運ぶ。

そのままどれくらい飲んだだろうか――。


気づいた時には、真琴は大きなベッドの上で、一人眠っていた。


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