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スキル

 この世界に来てから、五年が経った。


 五歳になったら、すぐに魔法を教えてもらえると思い、父に教えてくれるよう頼んだが、今月末になんか行事があるから、待ってくれと言われた。


 その行事について詳しく聞いてみると、異世界モノでよくある、スキルを授かる儀式的なのがあるっぽい。なんかすごい王道な異世界だなとも思いつつも、せっかくなのでなぜスキルがこの世界にあるのかについて推測してみた。


 俺は異世界オタクだが、現実と創作の区別はついている。普通に考えれば、現実世界にスキルがあるなんてあり得ない。


 そんなこと言ったら魔法もだろって思われそうな気がするので言っておくが、俺も多少はそう思う。だから、この世界にどういった理屈で魔法があるのかについてもいずれは知りたい。もっとも、魔法はともかく、スキルは神的な何かが絡んでるのは確実だろうけどな。


 というのも、そもそもこの世界に転生した時点で、俺は神的な上位存在がいることを確信している。それ以外に、俺が転生できた理由が見つからないからな。なので、上位存在がいる前提でこれからは色々と考えていく。極力、上位存在──以降、神と呼ぶ──のせいという理由は使わずにこの世界について色々と考えていきたいけどな。




 じゃあ、スキルがある理由について考えていくが、俺は次の三つの仮説を立てた。


①神が好きにスキルを渡している


②神が潜在的な才能をスキルという形で顕在化させている


③神ぐらいの力を持った人、あるいは組織がこの世を支配して、何かしらの目的でスキルを与えてる




 異世界モノだとよくあるのは①だな。②もイベント──多分儀式なやつ──という形でなく、どんどんスキルを手に入れていくやつだとお馴染みの設定だよな。


 ③は見たことないけど、神を使わない理由だとこんなのしかない気がする。

 かなり雑な推測だが、情報が皆無の状況からならこんなもんだろう。


 俺は③以外ならどっちでもあり得ると思う。③は正直こじつけで作ったからな。でも、この推測が外れている可能性は大いにあり得る。どちらにせよ、実際にスキルをもらってみないことにはわからないな。







 ということで、スキルを授かる日になったのだが、両親と一緒に、教会に向かっている。どうやら、その儀式は教会で行うらしい。


 しばらく歩いていると、大きな建物の天辺が見えてきた。そのまま歩いていくと、建物の全体が見えてくる。大きな教会で、見た目はゴシック様式。巨大な双塔の間に複数の入り口があり、窓にはたくさんの美しいステンドグラスが嵌められている。まさに荘厳という言葉が似合う見た目で、俺は思わず息を呑む。




 なんで、異世界にある教会がゴシック様式なんだろうと思いながらも、そのまま教会に入ると、すぐに広い場所が目の前に広がる。そこは天井まで伸びる柱が列をなして立っており、天井はかなり高く、自然と目が上へと引き上げられる。左右のステンドグラスから光が差し込み、この場の神秘さをさらに引き立てる。大理石の床に足を踏み入れれば、足音が反響する。その美しさに、深い感動を覚える。前世ではなんの宗教にも入ってなかったが、建造物としての教会はかなり好きだった。やっぱり、教会っていいな。毎回見るたびに感動する。




 そして視線を真正面に向けると、中にはすでにまあまあな数の人が座っていた。俺たちもそれにならって近くの長椅子に座る。少しの間待っていると、神官らしき男が奥の祭壇らしきところにやってきて、話し始める。


「皆さん、ようこそお越しくださいました。この度は神授顕現式が執り行われます。一人ずつお子様が前に出ていただいて、神に祈りを捧げていただくという形となりますので、何卒御理解、御協力のほどよろしくお願い致します。それでは、貴族の方から順番にお越し下さい」


 そう神官の男が言うと、一人ずつ前に進んで祈りを捧げていく。


 そして、ついに俺の番になった。父と母に「フリーク、頑張れ!」と小声で応援されて立ち上がる。緊張で体が強張りながら、祭壇の方に歩みを進める。祭壇に近づくとステンドグラスがよく見える。描かれているのは、神の絵だろうか、とても美しい。そして、ついに祭壇に辿り着く。




 ひざまずき、手を胸の前で組む。外から見れば落ち着いているだろう。肩も揺れず、呼吸も整えている。でも、胸の奥で心臓が跳ねる。脈が早すぎて、自分の鼓動が耳に響く。俺は今すごくワクワクしている。妄想でしかなかった出来事が現実に起こるなんて、まるで夢のようだ!


 そう内心思いながらも、目を閉じ、ただ静かに祈る。




 すると頭の中に文字が浮かんでくる。




《スキル》〈思考加速〉〈並列思考〉

《ユニークスキル》〈天道無窮(てんどうむきゅう)



 思考加速──並列するすべての思考を極限まで加速させ、瞬時に判断を下す力。

 魔力消耗と微細な頭痛を伴い、制御を誤れば意識の境界が揺らぐ。




 並列思考──脳内に無数の回路を紡ぎ、複数の思考を同時に巡らせる力。

 魔力の消耗により暴走は抑えられるが、思考の重みは常に頭に微細な痛みとして残る。




 天道無窮(てんどうむきゅう)──天の道が果てしなきがごとく、その成長は限りなく続く。

 生まれながらに天賦の才を持たずとも、歩みを重ねれば、やがてすべてを凌駕する。




 これがスキル?なんとも不思議な感覚だ。無機質な声が頭に響くわけでもなく、ステータスが表示されるわけでもない。いや、さすがにステータスなんて表示されるわけないことはわかってたけど。


 それにしても、思考加速と並列思考か。“最強系主人公”が持っていそうな定番のスキルだな。説明文の感じからすると、魔力消耗によって使用可能で、頭痛とかのデメリットもあるって感じか。小説の主人公たちは、デメリットなしに使ってた気がするけど、まあ、現実的に考えれば精神に負荷がかかるのは当然か。


 それと、天道無窮(てんどうむきゅう)か。要するに、伸びしろしかないって意味だな。一歩一歩練習を積み重ねていけば、いずれは天才にも勝る的な感じか。めっちゃ優秀なスキルじゃないか?才能がなくても、強くなれるということか。やばいな。普通にブッ壊れスキルだな。


 こんな優秀なスキルもらったんだ。これを活かせるようにしなければならないな。


 さて、これからどうしていこうか。

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