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火の魔法

 俺がファルと一緒に指差した方向に向かうと、店に来た時に父に話しかけてた赤髪の男と父が話していた。そこに俺たちは走って向かう。走りながら、俺は父に呼びかける。


「パパ〜!まほうおしえて!」


 父は突然のことにびっくりしながら、赤髪の男との話をやめてこちらに話しかけてくる。


「すまん、リート。フリークが来た。フリークなんでこっち来たんだ?それに、後ろにいるには誰だい?」


「ファルだよ!」


「ファル?…もしかしてファルミラちゃんかい?」


 父とそう話していると赤髪の男が俺の後ろにいるファルに話しかける。


「おお!ファルじゃないか!どうしたんだ?」


「パパ…。フリークがパパのまほうみたいって」


「魔法をか?いいぞ、なんの魔法だ?」


 今すぐにでも魔法を使いそうなリートを、父が慌てて止める。


「リート、さすがにここでは使うなよ?ここでお前が魔法なんて使ったらとんでもないことになるからな」


「そんなのお前の魔法を使って防いでくれよ。お前の結界を使えば、被害を出さずに使えるだろ?」


 そんなことを言うリートに父は呆れながら言葉を返す。


「リート、お前ってやつは…。確かにそうだけど、あまり強いのは使うなよ?【結界】」


「おう!ありがとな!魔法は…炎でいいか!俺が一番使えるし。いいか坊主、よく見とけよ!『燃えろ!もっと熱く!もっと強く!』【ファイヤ】」



 次の瞬間、空気が爆ぜた。明るく、美しい炎が宙に渦を巻く。けれど、不思議と熱く感じない。

 その光景の美しさに、思わず手を伸ばす。すると、その手は見えない障害物に阻まれる。

 なるほど、これが結界か。父の結界によって守られているという安心感を得たからか、両手を結界につけて顔を火に近づける。

 美しい、本当に美しい。これが、これが本当の魔法なんだ。母が使っていた生活魔法的なものとは一線を画している。

 ああ…異世界に来てよかった。これだ、俺はこれを見るために生まれてきたんだ。俺はこれを望んでいた。これを見たかった。

 やがて火は収まったが、俺は先ほどの光景が頭から離れず、父が心配そうに声をかけてくるまで立ち尽くしていた。




 父から話しかけられて、やっと意識が戻ってくる。


「フリーク? …フリーク? 大丈夫かい?」


「ぁ、ぁぁ……。だ、大丈……ううん、だいじょうぶ!ま、まほうってすごいね!」


「そうだね。でも、魔法ってすっごく危ないからまだ教えないからね」


「えぇ〜〜。おしえてよ!パパ! おしえてくれないの?」


 先ほどの光景のせいで、より一層魔法が学びたくなってしまった俺は、父になるべく可愛くお願いしてみた。心情的にはだいぶキツイ。体は子供だけど精神はもう大人だからな。


「うぐっ……で、でも、さすがに今はダメ! 5歳になったら教えてあげるから。いい子なら我慢できるよね?」


「わかった!やくそくだからね!」


 心の中で「今すぐ教えてくれよ」と不満げに思いながらも、三歳児が親に逆らうのはさすがに違う気がするので、素直に従っておく。

 しかし、五歳か。あとニ年、待ち遠しいな。何しようか?正直、近所の子どもたちと遊ぶのは、冒険者ごっこや鬼ごっこみたいなのばかりでつまらないからな。子供の演技の一環だから、仕方なくやってるだけだ。

 そういえば、もしかしてファルと遊んでたらリートの魔法見れるかな?今日の様子なら、遊んでいる時に頼めば見せてくれそうだよな。ファルはちょうど友達いないっていってたし、ファルには悪いけどちょっと利用させてもらおうかな。遊んでるだけだったら、両親も何も言わないだろうし。

 ……よし、決めた。自分でも最低だと思うけど、ファルを利用して魔法についてもっと探ろう!

 とりあえず、リートと話してるファルに、頃合いを見計らって話しかけるか。


「どうだ?ファル。パパの魔法はすごいだろ?」


「すごい…でも、あぶない!パパいつもあぶないよ!火は中でつかっちゃダメってママいってたでしょ!」


 ファルの言葉を聞いて、リートの顔は急に青ざめる。


「げっ…リアが? マジかよ、やべぇな。そんなことを言ってたか?ほんとにやべぇな。怒られる。どうしよ」


「わたし、しらないからね!」


 そう言って、ファルはそっぽを向いてしまった。


 さっきの火を見て、リアが怒った声で「ちょっと、リート、何してるの?」と呼ぶのを横目に、俺はファルに話しかけた。なんか修羅場そうで、二人の会話中に話しかけられなかったので、リアが来てくれて助かったぜ。リートの犠牲は仕方ない。必要な犠牲だったんだ。


「ねぇねぇ、ファル。すごかったね、まほう」


 ファルは急に話しかけられたからか、慌てて返事をする。


「う、うん。そうだね。でも、あぶないよ」


「ファルのパパ、いつもまほうつかうの?」


「そうだよ。いつも家でもつかってて、ママにおこられてるの」


「へ、へぇ。それはすごいな。でも、かっこいいよね!まほう」


「かっこいいよ。でも、あぶない」


「あ、そうだ!ファル、こんどからいっしょにあそぼう?」


「わたしと?でも…あそぶのはお友達とするものってママいってたよ?」


「え?ともだちでしょ?ファルとぼくは」


「え?」


「え?」


「……ほ、ほんとに?」


「ちがうの?」


「い、いや、ちがくない。ともだち……ともだち……。やった!ともだち!」


 そう言うと、ファルはリートを怒ってる、リアのところに行き、抱きつく。


「ママ!ともだち、ともだちできた!」


 ファルが来たからか、リアは怒るのをやめる。そして、リートはファルに「ファルよくやった!」といい、それを聞いてリアはリートの方に顔を向け、睨む。それに「ひっ!」と声をあげて、リートは縮こまってしまう。あと、この二人の後ろで父も母に怒られてた。

 ドンマイ、父さん。

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