初めての友達
ラスティと一緒にファルミラなる人物を探している時に、ふと気になったことをラスティに聞いてみた。
「ねぇねぇ、ラスティおねえちゃん。パパってどんなお仕事してるの?」
「アレックから教えてもらってないの?アレックは、というかここにいる人は大体魔法学院の先生をやっているのよ」
「ま、まほう!パパもまほう使えるの?まほうがくいんってなに?」
「ええ、というかアレックの使う結界の魔法はこの国でもトップクラスの魔法よ。アレックの魔法を家とかで見たことないの?」
父が魔法を使ってるのは見たことないな。てっきり使えないのかと思ってた。
「う〜ん、みたことない。ママが火のまほうを使ったのはみたよ。それで、けっかいってなに?」
「結界って言うのはね、簡単に言っちゃえば人を守る見えない壁を作るってことね」
なるほど。つまり父が得意なのは結界魔法ってことか。国でもトップクラスってことは父は相当すごい人なんじゃね?いつも家にいる時は俺と遊んでばっかりだから、だらしない人だと思ってたな。とりあえず、もう少し情報引き出してみるか。
「パパ、人を守ってるの?」
「そうよ。少し前に起こったスタンピードの時もここを守ったんだから」
「すたん…なに?」
「はあ、君、なんで私と一緒にいるか忘れてるでしょ。そんなことは、後でパパとママに聞きなさい。ほら、いたよ。あれがファルミラちゃん」
そういえばそうだった。話に夢中になって、すっかり本来の目的を忘れてた。ラスティの指差した方を見ると、そこには自分のお母さんか誰かの腰にしがみついている銀髪の子の後ろ姿があった。
さて、どうするべきか。女の子の母親らしき人は隣の人と話し込んでいる。あの子に、今話しかけてもいいのかな?あの子が父の言ってた子で間違いはないんだろうけど…。
そう思い悩んでいると、ラスティがファルミラなる女の子がしがみついてる女性に話しかけた。
「リア、今ちょっと時間いい?」
「あら、どうしたの?ラスティ」
その女性が振り返り、自身の銀の長髪をなびかせる。
その銀の長髪は光を受けて柔らかに輝き、彼女が持つヘーゼルの瞳は黄金と緑が溶け合うように生き生きと輝いていた。
整った顔立ちは気品を漂わせながらも、その表情は快活で親しみやすく、見る者に自然と笑みを誘うような明るさを備えていた。
彼女の腰くらいの位置には、顔を隠しながらもチラチラとこっちをみてくる先の女の子の顔も見える。
すると、ラスティは自身の腰くらいの高さにある俺の頭に手を置きながら話す。
「この子、アレックの子供のフリークくんって子なの。フリークくんがファルミラちゃんを探してたから、連れてきた」
その言葉にリアなる女性は、少し驚きながら俺を見て話す。
「ああ!この子がフリークくん!アレックから話は聞いてたけど、会うのは初めて」
そして彼女は少ししゃがみ、俺に目線を合わせながら話しかけてくる。
「初めまして、フリークくん。私はリアって言うの。うちの子に会いに来てくれたのね。この子すっごく恥ずかしがり屋で、私の後ろに隠れっぱなしでいまだに友達もいないの。仲良くしてくれる?」
「うん!なかよくする!後ろにいるのがファルミラちゃん?」
「えぇ、そうよ。ほら、ファルもあいさつしなさい」
すると、リアが後ろに隠れている子がイヤイヤと首を振っているのを無視しながら、俺の前に連れてくる。
その子は短く切りそろえられた銀髪に、大きく澄んだアンバー色の瞳を持っていた。表情はどこか不安げで、肩をすくめてビクビクしてる。
これは、俺から話しかけたほうがいいやつだな。俺はそう思い、彼女に話しかける。
「はじめまして!ぼくのなまえはフリーク!なかよくしてね!」
「え、ええっと…その……、うん……」
ファルミラは言い切ったと感じたのか、ほっと息をついた。そして、それも見られているのに気づいて、慌てて顔を背けた。
そんなファルミラに俺は少し離れた椅子を指さして提案する。
「ファルミラちゃん、あっちでおはなししよう?」
「え、でも……。ママ」
そう言うと、ファルミラは母親の後ろに隠れてしまった。
それを見ていたリアはため息を吐きながら自分の後ろに隠れたファルミラの方を見て、話しかける。
「はぁ〜〜。ねぇファル、せっかくフリークくんが仲良くしようとしてくれたのに、何をしてるの。ほら、一緒に行ってきなさい」
「………。わかった。フリーク、いこ」
「う、うん」
大人の邪魔にならないように離れようとしたのは失敗だったか?まぁとりあえず気にしなくてもいいか。
そうして、2人で少し離れた席に着いた。
「ねぇねぇ、ファルミラはさ、」
俺が話そうとすると、ファルミラがそれを声を上げて止める。
「そ、その……。ファルミラじゃなくて、ふぁ、ファルでいいよ」
「あ、うん。でさ、ファルは魔法って見たことある?」
「……あるよ。パパがよく火のまほうをつかってる」
「ほんと!!どんなまほう!?」
俺が前かがみになりながら聞くと、その気迫に押されたのか、少し身を引きながらファルは答える。
「そ、その……。おっきい火をだすまほう。いつもいろいろもやしてる」
「す、すごい!そんなまほうみたことない!!みたい!みたい!パパどこにいるの?」
さらに気迫を増した俺から目を背けながら、ファルは俺の後ろを指さしながら答える。
「あ、あっち……」
「じゃあ、いっしょにいこ!」
俺はそう言うと、ファルの手をとって駆け出した。




