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ep.60 はい!私はただのEランク冒険者です!

遅くなりました。すんません!

新作も作ってるから許して欲しいです⋯(まだ未投稿)

オクスの魔法が放たれたせいで辺り一帯のスライムは消し炭になった。というか、焼け野原になりかけた。

スライムたちは魔力に引き寄せられるとはいえ、魔法に耐性があるわけでもなく、案外あっさりと倒せてしなったのである。

「やっべ⋯」

やばい魔物って聞いてたから威力を上げたのだが、思ってたより弱かった。その影響は地形へ大きくダメージを与え、開けた場所には大小いくつかのクレーターが出来上がりである。

(これは後で問い詰められるやつだな⋯)

「おお、流石だな〜」

レイはそんな気持ちもつゆ知らず、笑いながら僕の肩を叩いていた。




今現在二人はギルドのギルドマスター室に待たされていた。それはもちろん僕の予想通りになってしまったから⋯

ギルドに戻ったあと案の定、任務達成の証明のためにスライムの死骸を持っていったので、呼び出しを食らった。なんとかフードを深くかぶっていたため、正体はバレていないのでレイが口裏を合わせてくれれば助かる。

「レイ、お願いが⋯」

しかし、物事はうまく進まないもので説明をする前にギルドマスターのリアトルさんが戻ってきてしまった。

「よう、久しぶりだなレインとこの⋯名前は確かレイだったか?」

「あ、小さい頃に世話になったおじさん。元気にしてたか?」

「否定しないって事はあってるってことか。最近記憶に自信がなくてな」

とても一般的(口調は置いておいて)世間話が少し始まったので、少し猶予ができた。

「ところでお前が戻ってきたってことはオクスも帰ってきたのか?」

レイがチラッとこっちを向いていたので小刻みだが首を横に振ってコンタクトを図った。

オクスの意思はこうだ。

(駄目ではないけど念のため駄目!)

一方でレイはというと

(あんまり焦ってなさそうだし、帰ってきたことぐらいは言ってもよさそうか?)

結果伝わらなかった。なので、もちろん結果は

「帰ってきてるぜ。今ごろ屋敷で訓練でもしてるんじゃないか?」

(まあ、まあまあ、まだこれぐらいなら大丈夫⋯)

そんなオクスの心の中で考えてることもつゆ知れず、会話は進んでいく。

「じゃあ、顔を出すように伝えといてくれないか?依頼をあんまり受けてないみたいでな、冒険者資格が失効してるんだ」

「えっ」

「ん?どうしたそこの坊主」

「あ、いえ、初心者なもので失効の事は知らなかったので⋯」

「そうか。登録の手続きをしたのは金髪の受付嬢だったか?」

「え?ああ確かそうですけど⋯」

まだ、1日と経っていなかったのではっきりと覚えている。金髪の女性だったはずだ。

「またか⋯あいつはまだ新人で説明をし忘れることが多くてな⋯済まなかった」

たまたま運がよく話をすり替えることができて助かった⋯次から気をつけなくては⋯

それから少し経って遂にリアトルは本題へと入った。

「でだ。確か依頼内容は調査だったはずだ。だが、お前たちはスライムの死骸を持ってきた。それも大量にだ。これについて説明してもらおうか?」

「それについては私が話します」

こうなった以上自ら話をして内容を改ざんする他ない。レイも口裏は合わせてくれるだろう。

それからなんとか正体がバレない程度に説明をした。

レイに功績をすべて押し付けながらな!

「ほう⋯つまりレイがすべてやったわけだな?」

レイは俯いて目を合わせないように口笛を吹いていたが気にしないでおこう。

「はい!私は腰が抜けてしまって見守ることしかできませんでした!」

「そうか⋯」

「はい!私はただのEランク冒険者ですから!」

こういう時はニコニコして相手の話に合わせながら早期に決着をつけるに限る。


「じゃあ、レイに一つ聞いていいか?」


「ん?あ、いいぞ!」


いきなり話を振られてレイは少し焦りながら返事をした。


「魔法使いは一つの属性を極めることが多い。レイもそうであり、敵を水や氷で倒したのか?」


(ん?あ!その質問はマズイ)


「あ、嗚呼もちろんだぜ!全員氷漬けにしてやったぜ!」


「ほうそうか?じゃあ、誰が火属性魔法を使ったんだろうな?」


この発言にオクスは思わず手を顔に当てた。


「急に爆音が街に響いてな?それで調査が特に冒険者に向かわせたんだ。そしたら火属性魔法の痕跡とスライムの残骸が残っていたらしい」


「いや、それはスライムが打ってきたんだ?」


「それにしては服も焦げてないな?CランクとはいえEランクを守りながらそれは厳しいんじゃないか?」


Cランクもからに冒険者の中では誉れと言われる部類だ。それだけCランク以上は強いという保証がある。

ただそんなCランクでもできないことはある。

「氷の壁で防いだんだよ⋯」


しばらくの沈黙が続いたあとオクスはこれ以上の抵抗は無駄だと考えた。


「レイもういいよ。ちゃんと氷属性を使わなかった僕が悪いんだ⋯」


「でもよ⋯やっと役に立てると思ったのに⋯」


レイらしからぬしょんぼりとした声を聞いて自分までしょんぼりしてきた。

そこにリアトルは割って入って会話に強制的に復帰させてきた。


「それであんたは誰だ?いや⋯こんなことができるのは⋯」


「ええ、リアトルさんの予想通りですよ。お久しぶりです。お元気でしたか?」

そう言いながらオクスはフードを脱いだ。


「やっぱりな。オクス。いや、オクス殿。今は名誉伯爵だったな。貴族としての責任を持った説明をしてもらおうか?」


そうして空気が肌で感じられるほど張り詰めた。

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