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ep.47 屈辱

暗くなった空の中、中庭に着くと誰かの人影が見えた。そしてこちらに気がついたのか鬼の形相でこちらに怒鳴ってきた

「僕を待たせるとは言い度胸だな!」

「一応すみません?ところでどちら様ですか?」

「この僕を知らないだと⋯冗談も大概にしろ」

でも、本当に知らないんだけど⋯政治とかに関心を持っていなかった弊害がここに来るのか⋯

「まあ、いい名乗ってやろう。僕様は、バスターン侯爵が嫡男、ダン・フォン・バスターンだ!」

「⋯いや、わからないですね。侯爵家の方が僕に何のようですか?」

その言葉に頭に血が上ったのか、少し苛立ちを見せていた。

「これだから辺境の元平民貴族は。たかが武功をあげた程度で辺境伯とは国王も何を考えているのやら⋯」

などと抜かしたことを言うこいつに流石に腹が立った。戦争を舐めている。うちだって戦争に出れば犠牲者はでてくる。それだけ、命の駆け引きとは重い。

思わず拳に力が入った。

まあ、流石に我慢しておこう⋯

「えぇ、そうです。僕は辺境の貴族です。貴方が僕を罵ろうと僕は気にするつもりはありません」

「ふっ、わかっているじゃないか」

妬み嫉みには、これが一番有効だからこうしていこうと最初から考えていた⋯でも

「ただ、私の両親を侮辱する権利はあなたにはありません!」

ついはっきりとそう言ってしまった。

「なっ、身分が下のくせに指図しやがって」

あぁ、何と無知なのだろうか。そう心の中の黒い部分がそうつぶやいた。

「身分が下?ああ、あなたは知らないのですか⋯侯爵家の人間とあろうものこんなことも知らないのですね」

オクスはこのとき叙爵式で一番名誉伯爵の件で反発していた貴族がバスターン侯爵と呼ばれていた事を思い出した。だから、さらに追撃を入れてやることにした。

「きっと、あなたは今回の件、順位に納得がいかなかったから関わってきたのでしょう?」

「そうだ!平民の血が流れている奴が特待生などあり得ない!」

この学園では、身分が関係ないことを知らないのだろうか?

「そうですか。ならあなたは平民以下の愚民と言ったところですか」

オクスはさらに油を注いでいった。そして、まんまとこいつは挑発にかかってくれた。

「そんなこと言ってただで済むと思っているのか!」

「済みますとも。改めて自己紹介をしましょう。私は、オクス・フォン・テラン名誉伯爵。国王より外交官の任と最果ての地の開拓の任を承っています」

「なん⋯だと⋯」

明らかに顔は青くなっていた。

「以後お見知り置きを」

と最後に不敵な笑みで笑ってみせた。



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