ep.46 様子見
しばらくすると少し見栄えが変わって、少しだけだが緑が生い茂っている土地が見えてきた。そして、人影が見えた。
「多分フレアだよね?見た目が変わったみたいだけど」前は、辛うじて遠くから見たら人かな?ぐらいだったのに!
「ええ、召喚主。私はフレアです」
フレアは高身の男性の姿をしていた。
「フレアは男性だったんだね」
「いいえ、精霊には性別はありません。私がみたことのある人間を真似ただけです。そちらの方が何かと便利でしょうから」
そんな気遣いにも感謝だが、数日で流暢に話すようになるとは思わなかった。
「他の三人もお呼びしましょうか?」
「うん、お願い」
しばらくすると各方面からそれぞれ精霊たちは集まってきた。もちろん人の姿を取って。
「みんな人型を取れるようになったんだ右からフレア、ウィーネ、シルフィア、アースでいいよね」
そう聞くと四人は無言で首を縦に振った。
見かけの性別は男女で割れている。ウィーネなら凛とした女性、シルフィアなら華奢な女の子、アースなら屈強な男性という感じで。
「それで召喚主は何のようでここに?」
「ちょっと様子見を兼ねてこれからのことを伝えようと思ってね」
それからオクスは、自分が理想とする先の話をした。ここをどんな種族でも仲良くできる場所にしたいと言うことを。
「だからと言って街を作った後で追い出したりはしないよ。みんなには精霊族も入ってるから」
するとおぉと感心する声が聞こえた。
実際構想はある。今張っている結界と同じ原理の結界を張って内側に魔力を注いでやれば擬似的に魔力濃度が高い土地が作れるはずだ。
「召喚主よ。少し提案がある」
そう手を挙げたのはアースだった。
「何?」
「ここは四人では広すぎる。だから、同族を連れてきても良いだろうか?」
確かにそれはその通りであった。今ここは見渡す限り平地、平地、平地。流石に四人では手持ち無沙汰だ。
「それは私も思う⋯流石に四人じゃ多い」
「私もそれは思います。気の向くままに泉を作ったりしていますが」
どうやら、全員同じ意見らしい。
「わかった。やり過ぎないようにバランスを取ってくれるなら問題はないよ」
木が生えすぎて伐採とかはあまりやりたくないしね。
「感謝するぞ召喚主よ」
「うん。じゃあ、今日はこんなもので」
元々来た時間が遅かったからなのかもう日は落ちてきている。流石にそろそろ戻るべきだろう。
「はい。次また来てくださるのを楽しみにしておきます」
フレアのその言葉を聞いたあとオクスは転移で部屋に戻った。
「種族の差って凄いなぁ。次にはどうなってるのか」
いやはや恐ろしいものだ。
そして、忘れていた使用人棟の件を済まそうとドアに手をかけたときドアと床の間に神が挟まっているのが見えた。何かと拾い上げてみるとそこには果たし状的な内容が簡単に一文書かれていた。
『オクス・フォン・テラン一人で中庭に来い』
なんだこれ?誰かの恨みを買った覚えはないが⋯
というかいつからここにあったのだろうか?
なんか相手に悪いので先にこの件を片付けることにし、オクスは中庭に向かった。




