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ep.44 特待生の権利

オクスはまた道に迷いかけている。


「うーん⋯右と左どっちだったけ?」


流石に自分がここまで方向音痴だと困ることは知っていたし、どうにかしようとしている。


(もういっそのこと道に迷わないスキルでも作るか?)


そんなことにスキルが使われるとは神様も思っていなかっただろう。

危うくスキルを作りかけた時


「どこか行きたいところでも?」


と親切にも誰かが声をかけてくれた。


「あ、はい!少し学園長室に用事がありまして」


そう教職員と思われる人がやってきたので道を聞けることを期待してそう答えた。


「そうですか。せっかくですし私が案内しましょう」


「本当ですか!ありとうございます」


まさかのラッキーに感謝感謝。

オクスはその女性教職員についていくことにした。

よく見たら試験の時にいた人ではないか。少し気まずいが我慢しよう。


「あなたは新入生ですね。少し聞いていいですか?」


「はい何でしょうか?」


「この学園の制度についてどう思いますか?」


「素晴らしいと思います。ここは平民も実力さえあれば入れますから」


ただ、問題があるとしたら⋯


「ただ問題を上げるとしたら中等部の授業料などの無償化が国の経済を逼迫させていることですかね。このままでは一部の上位貴族からの反発が止めれなくなると思います⋯」


そこまで言い切った後で一息置いてからオクスは気がついた。


「あっ、過ぎた発言でした申し訳ありません」


「いいえ。事実ですからそのことをはっきりと言えることは素晴らしいです」


「いいえ。私の両親は元平民ですからちょっとわかることが多いだけです」


「確か、テラン家のご子息ですね。あの二人の子どもですからしいですねぇ」


「何かおっしゃいましたか?」


「いえ、独り言です。ところで着きましたよ。ここが学園長室です」


そう扉を開けて、オクスを中に招いた。


「学園長先生はいらしてないようですが⋯」


「いいえ、いますよ」


そうさっきの教員いや、学園長は席についた。


「私は、ナヴィス・リル・アストレリオ。この学園の学園であり、この国の王妃でもあります」

⋯⋯

「本当ですか?」


「はい、本当ですよ」


オクスはもう無言で俯くしか無かった⋯


「何か気にしているようですが、本題に入っても」

「はい⋯お願いします⋯」


「中等部の件ですが、貴方が特待生だと話したら特に問題にはならなかったので不問とします」


「それはよかったです」


正直こっちのことのほうが気になっていて、気が気でなかったのでホッした。


「あとは、特待生のことですか」


ユリウスの言った通りだった。多分こっちが本題のようだ。


「まず、貴方の能力は卓越していることに気がついていますか?」


「何のことですか?」


すると学園長は一枚の紙を取り出した。


「本来なら見せるものではないのですが特例です。これはあなたの試験結果です」


そこには、満点の上にスラッシュが引かれていた。

「これはどういうことですか?」


「と言いますと?」


「貴方の筆記試験には、なぜか高等部までの試験が含まれていました。それなのに貴方は時間内にすべてを解き全問正解。前代未聞にも程があります」


要するに俺は半分以上の問題を解かなくてもよかったわけでしかもそれが、正解してしまっていたわけだ。

「実技といい、筆記といいどうやったらこうなるのでしょう⋯」


学園長は頭を抱えていた。


「申し訳ありません⋯」


「気にすることではないです。将来有望な生徒がいるだけでお得ですよ。では、特待生についての説明をしましょう」


そうオクスは一時間のひたすら説明を受ける羽目になったので、簡単に要約させてもらう。

簡単にまとめると『お前強すぎるから実技の受ける必要なし!座学は受けたかったら受けていいよ!あと、行事は学年代表として絶対出場な』

というわけだ。

これから大変になりそうだが都合がいい。

これであそこの浄化がどうなったか様子が見に行けるし、今までやりたかったことができる。

こうして、新たな日常が幕を開けた。


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