ep.35 最果ての土地
王国の最果ての土地。そこは未だに名もなき土地であった。
その理由は単純明快、荒れ果ててどの種族も住んでいないから。
正確には住んではいる。ただ、それは極少数といったところだろう。
最果ての地が、街一つない荒野の地となったのは、かつて種族間で行われた戦争が原因だった。
遡ること数百年前、ちょっとしたきっかけから戦争は始まった。戦争は人間国家連合軍、エルフの国シェフィルド、獣人の国ラハール、ドワーフの国ドゥルムを主に他にも同盟関係などでこの世界に存在する十種族がぶつかることとなった。そこの戦場となっていたのがこの土地であった。
何十年もかけ終戦した頃には、大地は血にまみれ、魔力によって汚染された。
それが今となっても、各種族の溝を深める原因として残り続けている。
その頃立場が弱かった人間国家は、強制的に参加せざる終えなかったというのはあるが、戦争に参加したという事実は他種族との溝を深めるのには十分すぎる理由であった。
「お前はあの土地の問題をどうにかできる自信があるのだな?」
「はい、魔力汚染に関しては神聖魔法で浄化できますし⋯」
「ちょっと待て!」
話を遮ってまでの問題が何かあっただろうか?
「何か不服な点でもございましたか?」
「ちがう。オクスよ神聖魔法といったか?」
「はい、神聖魔法ですね。今からでもお見せできますよ」
と軽く魔法陣をちらつかせた。
「しなくてよいわ!城が消えかけん。しかし、神聖魔法は神代の魔法のはずだが?」
チラリと何食わぬ顔で紅茶を飲んでいる両親に目を向けた。
「説明しろという顔だな⋯オクス、ステータスを見せたほうがいいかもしれないぞ。ここなら他に漏れる心配もないしな」
「確かにそれが一番手っ取り早いですね」
オクスはステータスを開いてみせた。
そこに現れるのはとても五歳強のものとは思えぬものだった。
「魔法は全属性。武術は一通りできます」
そこには、誰にも真似できないようなことになっているスキル欄があった。
そもそも、スキルのは先天性のものと後天性のものがあるのだ。
先天性スキルは、簡単に言うと神殿で神様から授かるスキル。それぞれほかとない力がある。
逆に、後天性スキルは、努力次第で誰でも手に入れることができるものだ。
例えば、剣術スキル。
片手剣、両手剣など種類は多種多様だがこれらもスキルとして扱われる。
職業スキルは、要するに料理とか鍛冶とかそういうのを熟練度として表記する物だ。
「どうやったらこうなるのか知りたいものだ⋯」
と呆れ顔で視線を向けられたのは、見なかったことにしてもいいだろうか?
実際のところ、シンさんたちの差し入れをしたお礼に何かさせてほしいって言われて。興味本位で色々教えてもらったていたらこうなっていた。
だから、そこまで得意じゃない武器もあるし、しっくりくるものもあった。
「⋯はぁ、竜の子は竜ということか⋯」
「陛下。もしよかったら私にこの場所の開拓許可をくださいませんか?この場所だったらきっとできると思うのです。数百年間崩れ続けた種族間友好を」
過去を忘れずに乗り越えたとききっとその分だけ繋がりは大きくなる。そうやって前を向いていけばやり直すことだって可能だ。
何より、世界の危機とやらが迫ってきているのに争っている場合ではないのだ。
「別に構わぬが、オクスお前はこれから学生のみであろう。それについてはどうするのだ」
そう問題は学生の身分だということ。
この国の法律で、六歳から九歳までの子供は身分問わずちゃんと学生として学ぶ必要がある。
いわゆる義務教育だ。
「それならご安心ください。つい先日長距離転移魔法を開発しました」
その言葉で執務室は完全に凍りついた。
(あれー?転移魔法は普通にまだ使えるはずだけど?)
数は少なくても今でも使い手はいるはず
「オクス、転移距離はどの程度だ?」
「確か⋯最大でこの国の端から端まででは可能かと」
その言葉でさらに部屋は凍りついた。
両親たちはのんきに話をしているが凄く睨まれていることに気がついてほしい。
「オクスくん、今の時代転移魔法は街一つ移動するのもやっとなんだ。君が言ったことはその何十倍の距離を移動するということなんだよ?」
初耳なんですけどー!
「もう満足だ⋯好きにするといいどのみち誰も手を付けようとしていない土地だ。ただ、まだ爵位を持っていないものが領地となると反感があるだろう」
国王は少し間を開けて、驚き返すためかのようにこう言い足した。
「オクス・フォン・テランお前を外交官兼名誉伯爵として任命する。精進するように」
「え?えー!」
この通りでやけくそ気味に言われながらも、地位と領地をオクスは手に入れた。
やっと本編に入れる⋯
タイトル詐欺がやっと終わる⋯




