ep.32 子供なめんな!
その出来事にあたりはパニックになった。
だが、落ち着いて状況を整理しようとするものもまたいた。
「オクス、解毒の魔法は使えるか?」
「一応、一通りには」
「ならこれを持っていけ」
そう渡されたのは、家紋が刻まれたエンブレムだった。
「始めて辺境伯になった時の昔話にでもと思ったがこんなふうに役に立つとはな。オクス頼んだぞ」
「はい!」
オクスが行ったのを確認すると部屋を飛び出てある場所へと向かった。
◇◆◇◆◇
オクスは人の間をかき分けて国王がいるところへと向かった。
そして、階段を駆け上がり護衛と思われる人に剣を向けられた。
「何奴」
オクスはレインから貰ったエンブレムを手前に向かって突き出しながら
「レイン・フォン・テラン・ダイアスの嫡男、オクス・フォン・テランです。解毒の魔法が使えるため馳せ参じました」
「ッ!テラン家か。なら頼む陛下を助けていただきたい」
それを聞いて少し驚いた様子だったが深々と頭を下げたあと通してくれた。
「何者だ!」
また、同じことを言われもう一度繰り返す羽目になるのかと思いつつ渋々、口を開けようと開いたとき
「お前達、剣を下げろ」
「しかし、団長⋯」
「この方は、テラン家が嫡男、オクス・フォン・テラン様だ」
テランの名前が出た途端なら安心だと剣を鞘に戻した。
「解毒魔法が使えるらしい。陛下のところまで案内しろ」
「「「わかりました!」」」
オクスは三人の騎士に連れられ、会場の裏へとやってきていた。そこにあった部屋は騒然としていた。
「救護団はまだか!」
「それが、解毒が使えるものが今現在おらず⋯」
「誰でもいい!解毒が使えるものを呼んでこい!」
「解毒の使える方をお連れしました」
オクスはその声に合わせ奥へと進んだ。
「このような子供が解毒魔法だと?嘘もほどほどにしろ」
(この人うるさいなぁ。でも一旦無視で)
しかし、オクスはその言葉にカチーンときたので最上位の解毒魔法を使ってやることにした。
「オーラルキュア」
それも詠唱破棄で




