ep.29 ついに到着そしてお披露目
長いようで短かった気もする旅路も終わり、オクスは遂に王都へと到着した。
それから三日経ち、お披露目会の日になった。
もちろんのごとく、礼服を着させられ会場となる王城へと馬車で向かっていた。
「心配だなぁ」
正直、社交辞令は得意じゃない。失礼にならないレベルぐらいしか分からない。
あと、緊張しているのはオクスだけではないらしい。
「いや〜、緊張するな〜」
「ね〜」
そうなんだよ。親二人も初経験だから頼れないし、何をしだすか分からないし⋯
不安な気持ちでいっぱいになりながらも、とりあえず頑張ることにした。
王城内を歩いているうちに会場に着いた。
そして、第一印象はというと
(なんか見られてね?)
それが正直思ったことだった。後から入ってきた貴族になど目もくれずだ。
何をすればいいか特に分からず、ポカンと立ち尽くしているとそこに話しかけてきてくれる人物が一人。
「テラン卿、お久しぶりですね。そちらがご子息の?」
「ミュラー卿、久しぶりですな。お察しの通りこちら我が家の長男」
「オクス・フォン・テランです」
こういう時は自己紹介だと学んだ。実際できるとは思ってなかったけど。
「オクスくんか。話はテラン卿から常々、私はアレシウス・フォン・ミュラー。以後お見知り置きを」
「父より、ミュラー様は宰相であり温情深く、聡明な方だとお聞きしました。実際に、お目にかかってさらにそう感じられます」
「どうやったら貴方からこんなにも礼儀正しい子が生まれるのですか?」
と驚愕していた。
「え?ひどくない?」
「はい、口調が戻ってますよ」
レインは急いで口を押さえた。
「貴方は昔から⋯」
この話は長引きそうだ。早めに撤退するのが最善だろう。
「僕は少し奥まで行ってきますね」
するとミュラーは話を止めて
「オクスくん。なら、私の娘と話をしてやってくれないか?誰かに話しかけるのが苦手みたいでね」
と指をソファーに座っている女の子へと向けた。
「わかりました」
「ありがとう」
とミュラーはオクスに向かって手を振った。
「本当にどうやったらあんなにも礼儀正しくなるのですか?」
「まるで、私が礼儀正しくないみたいじゃないか」
「学生時代の貴方は大変でしたよ。先輩?」
「確かにちょっとよく教職員室には行っていたが⋯」
「今はだいぶマシですけどね」
「ははは⋯」
そんな二人の会話をファルは微笑みながら見守るのだった。




