ep.26 リギアの街
特に変わったことも起こらず王都に一番近い街リギアへと到着した。
「大きい町ですね〜」
リギアと今まで通ってきた街とは規模が何倍も違う。人も多いし、街も賑わいかえっている。
「さすが、ミュラー卿の街だな」
「お父様はここの領主様とお知り合いなのですか?」
「知り合いというか腐れ縁というか何というか⋯」
レインは少し苦い顔をしてそういった。
それを見たファルは
「よく怒られていたわ。『もっと立場を考えてください!』って」
「思い出すだけで頭が⋯」
ということはレインより偉い人ということになる。
「厳格な方なのですか?」
「いや、それは違う。温情深いやつだ。あと聡明だな。なんたってこの国の宰相だからな!」
なら納得がいく宰相なら国王からの信頼は一番厚いし、領地や街が大きくて当たり前である。
「顔を出したかったが、あちらもお披露目会に出席するだろうし、ほとんどを王都で過ごしているから会えることも無かったなぁ」
と勝手に思い出に浸っている間に宿へと着いたようだ。宿と呼べる規模では無かったが⋯
「屋敷一つ分くらいあるんだけど」
「貴族の威厳を保たなくてはいけないからな」
「なるほど」
「夜分までは時間があるな⋯オクス街をみてくるといい将来役に立つかもしれないからな」
「え?でも、勝手なことをしたらお母様に怒られますよ?」
もうゲンコツは喰らいたくない。とてもあれが魔法使いから繰り出されるものとは今も思えない。
「大丈夫だ。ちゃんと許可は取ってある。護衛付きという条件付きだが」
「はぁ⋯」
ということがあって街に出たのだが
「こんなことに付き合わせてすみませんシンさん。疲れてますよね?」
と黒髪黒目の青年が横に立っている。
「気にすることはないでござるよ。主君を守るのが家臣の務めであろう?」
「そう言ってもらえると助かります。みんな乗り物酔いしちゃったみたいで」
というのも宿についた後スイ達三人の様子を見に行ったら、目を回していたのだ。
「お大事にー」
オクスは何も見てないことにして三人には休んでもらうことにした。
「それにしてももう夕方なのにまだ賑わってますよね」
「さすが宰相殿の街といったところでござるな」
「シンさんは宰相様と面識が?」
なんとなく聞いてみると
「お父上の護衛をしている時に何度かあるでござるな」
「へえ〜」
時々レインは王都に向かっていた時があったからその時だろうか?
そんなことを考えながらふと顔を右に向けてみると一本の路地が目に入った。そして、見た光景は衝撃的なものだった。それにオクスは咄嗟に声を上げた。
「何やってるんだ!」
「なんだガキ」
その発言にシンは刀に手をかけたがオクスはそれを止めた。
「この国では奴隷制度は禁止されているはずだ。それも種族関係なく」
「違いますよ。俺達はちょっとこいつと話をしていただけですよ。奴隷だなんてとんでもない」
「じゃあその子がつけている首輪はなんだ!」
「ファッションですよ。ファッション」
なんとも苦しい言い訳にオクスは腹が立った。
「なら本人に聞いても問題ないよね?」
「勝手なことをされちゃ⋯」
オクスは声を上げた男に向かって殺気を放った。
「いいよね?」
「は、はい」
オクスは屈んでその子に目線を合わせた。
「大丈夫?」
その子は人間ではない。特徴的な尻尾と耳を持っていた。おそらく狐の獣人の子供だろう。
「え⋯あう⋯」
「落ち着いて。君は彼奴等にひどいことをされていない?」
「その⋯私⋯」
その子が何か言おうとしたとき後ろから男が殴りかかろうとしてきていた。だが、それは見えざる壁によって防がれた。その後男の手はシンによって切り落とされていた。
「う、腕がぁぁぁ!」
(騒がしい。目障りだ)
オクスは立ち上がって男の顔に回し蹴りを打ち込んだ。
その結果、男の顔は壁に埋まった。体は痙攣したかのようにピクピク動いている。
それを見て他の男たちは逃げ出した。
「ふう、静かになった。続きを聞いてもいい?」
オクスは少女に顔向け笑みを浮かべた。
サイコパスオクス↑




