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ep.25 平和だなぁ⋯

馬車に乗って移動すること約数時間オクス気づく。

(平和すぎじゃね?)

もっとこう言うのってさぁ、なんていうか魔獣が来てうわーとか盗賊が襲ってきてうわーとかじゃないの?

来てもやられるのはあっち側だろうけど⋯

今回はシンさんに来てもらってるし、もしもがあっても大丈夫だろう。そういえばさっきから見当たらないような気がするが勘違いだろうか?

「まあ、景色を見ているのも飽きてきたしなぁ」

最初の方はねうん、楽しかったよ?景色きれいだし。でも数時間移動して街を何個か通過した以外、特に景色の変化がないんだけど。

(こうなんか起きてくれないかなぁ)

オクスはそう思っているが実際には、起きていたり事前で色々あったのだ。

今も道端の茂みに目を向けてみると

「アニキ貴族の馬車でっせ。どうしますか」

明らかに悪人顔をした男は横にいたリーダーらしき男に話しかけた。

「それは行きに決まってんだろ!どこの家だ?」

「どこかはわかんねえですが家紋なら見えますぜ」

「どんなだ?」

男は目を凝らしながら特徴を告げ始めた。

「魔法陣の上に剣が二つクロスしたような家紋でっせ」

「ほ、本当か!」

リーダーらしき男は慌てて声を荒らげた。

「どうしたんですかアニキそんなに焦って」

「あ、ああ、早く逃げないと」

「そんなに怯えてどうしたんすか?ん?世界が傾いて」

ベチャっと生々しい音を立てて男の首は地面に転がっていた。

「うわぁぁぁ!」

「弱いでござるねぇ」

シンは刀についた血を振り払うと顔を前に向けた

「ゆ、許してくれ。そうだ金、金をやるから見逃してくれ!」

「あいにく金には困ってないでござるからおとなしく死んでもらえると助かるでござる」

冷酷にも告げられる言葉。男は決死の行動なのか立ち上がって

「お前ら行け!こいつを殺せ!」

「なにを一人で叫んでいるでござる?」

「ふふふこれでも俺達は名の売れた盗賊団だ。子分だって多い」

「子分とはあれでござるか?」

とシンが指差す先には死体となった盗賊達と兵士達がいた。

「そ、そんな⋯悲鳴一つなかったんだぞ!ああ、そうかこれは幻覚なんだ。ハハ、ハハハ」

茂みに風を切る音が響き盗賊団は密かに粛清されたのだった。

「さてお前達も戻るでござるよ」

そして、なにもなかったかのようにそこを離れた。

彼らはただ危険を排除しただけ。先手必勝、主人に毒牙が向く前にすべてを終わらせる。それが彼らのモットーであり、教訓であった。それが未遂であれ危険なら排除する。

何事もなかったかのようにシン一行は列に戻るのだった。


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