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ep.21 近寄って来るアレの季節

「オクス、まだ言い忘れていたことがあった」

「何ですか〜」

そう上機嫌に答えるが世界は無情だった。

「お前来月から学園生活だぞ」

「え?どこの学園ですか⋯」

恐る恐る聞いてみると

「王都にある学園に決まってるだろう?貴族の子息は皆六歳になる年に学園に通う決まりだろう」

(わ、忘れてたー!)

人が一番ショックを受けるのは、気分が上がっている時に落とされることだ。

オクスは今こういう状況なのだ。王都の学園に行くそれが意味するのは寮生活。つまりこっちには帰ってこれないのだ!

「そ、そんなぁ〜」

オクスは両手両ひざを地面につけ絶望してた。

そんな気持ちつゆ知らずレインは話を進めていく。

「でも、その前にお披露目パーティーがあるのだが、ファルは来れるだろうか?」

(そんなのもあったなぁ⋯)

多分来そう。だってあの最強マッマやぞ。絶対来る。

ありとあらゆる手段を使って来そう。

オクスは心の底からそう思った。

「ともかく準備しておけ」

「はい⋯」




「っていうことがあったんだよ」

「災難ですね⋯」

その日の晩はレイもエーシャも忙しいらしくスイしかいなかったので、少し話を聞いてもらっていた。

「そうなんだよねぇ」

オクスは机にだらんと身を預けながら気だるげに言った。

「とは言え、王都と毎日行き来するのは不可能ですしね」

「ならいっそのこと、学園と屋敷を行き来できる手段を得るべきかな」

「そんなことできるのでしょうか?」

うーん、できたら困らんよね⋯

幸い、空間と書かれた魔法の属性があるからできなさそうではないけれど⋯

「なら、私達が一人ずつ残ってオクス様を移動させましょうか?」

「それはいいかな。きっと体には負荷がかかるだろうし、二人を引き離すことになっちゃうしね」

何より人をもののように扱いたくはない。

「まあ、何とか頑張ってみるよ」

「是非そうしてください」

ニッコっと笑いスイは背中を押してくれた。

「あ、突然でごめんなんだけど、明日街に出ようと思うんだけどついてきてくれる?レイも一緒に」

「私はいいですが。また、奥様に怒られてるんじゃないですか?」

「大丈夫!今回は許可を取っておいたから」

今回は正式な理由があるわけだしね。

「わかりました。伝えておきますね」

「ありがとうスイ」

「それではこれで」

と言ってスイは部屋を出ていった。

(明日が楽しみだなぁ)

そう思いながらオクスはベットに寝転がり意識を手放した。

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