ep.2 転生したっぽい
あれから五年の時が経った。
最初は全く理解が追い付かなかったが、どうやら俺はラノベなどでよく見る、転生を実体験しているらしい。
しかも、この世界には魔法があるらしい。とても興味がある!
がしかし、魔法はまだ覚えられないらしい五歳の時に神様に祈りを捧げて属性とスキルを授かる形のようだ。
いやー、地獄の日々だったよ。目の前にほしいものがあるのにギリギリ届かない状態で置かれているようなものだったから。
その代わりのなのかは分からないが俺は剣術を教えてもらっていた。
まさかのメイドに。そして絶賛今も屋敷の庭で稽古中なわけだが・・・
フルボッコにされました。男としてのプライドがもう崩れ切っているZE。
「オクス様すみませんやりすぎましたぁ~」
と平謝りをしているグラデーションのかかった赤の髪を持つ彼女は専属メイドのエーシャ。
そしてめちゃくちゃ強い俺の剣の先生。
稽古中はそれでも手加減をしてくれているのだから末恐ろしい。
「い、いや気にしないで俺が弱いだけだから」
「ちょっと待ってくださいそれは違います。オクス様は決して弱くはありません。五歳でこの強さは十分ですよ」
「そ、そうかな~」
まあ、確かに打ち合えるようにはなってきたがそれでもまだ勝てない。
そもそも、メイドなのにこんなに強いのか?
その答えはここの場所に関係していた。
サイマール王国の最南端の領地ダイアス領。なので俺の父、レイン・フォン・テラン・ダイアスは辺境伯に当たる。
そんな辺境の地には危険がいっぱいだ。
隣国が攻めてきたらまず最初に狙われるのはここになる。
それに近くにはダンジョンと呼ばれる魔物の巣窟があるらしい。
ときどき魔物がダンジョンから出てきてそれの対処にも追われる。
その結果、テラン家の人間、それもメイドなど境なくみんな強いのである。
父も実際武功を挙げて辺境伯まで成り上がったのだとか。
母のファル・フォン・テランだって例外ではなかった。
どうやら昔、魔法の天才で一人で戦争の戦況を変えてしまったとかなんとか。
まあ、どんだけ頼み込んでも『魔法は五歳からね。』
と先延ばしにされてきていた。
だから今まで魔導書で知識を蓄えることしかできなかった。
だがしかし、今日からはちがう。なぜかって教えてやろう!だって今日が神様に祈りをささげる日「洗礼」の日だからだ!
ついに魔法を教えてもらえる。うぅ、感動で涙が出てきた。
「オクス様だいじょうぶですか?ま、まさか骨が折れてたり・・・」
「え?いや、大丈夫だけど」
「あぁぁぁ、すみませんでしたー!打ち首でもなんでも好きにしてください!」
いやいやちょっと待て。なぜそうなった?
「別に骨も折れてないし、折れたところで直してもらうだけだし、エーシャも手加減してくれてるわけだし。それぐらいじゃ僕は怒らないよ」
「ほんとですか?」
まるで子犬のようにウルウルとした目でこっちをエーシャは見てきた。
「ほんとほんと。エーシャにいなくなられても困るしね」
「うぅぅ、オクス様~一生ついていきますー」
エーシャって稽古の時と全く気配が違うんだよな。
なんかこう稽古中はきりっとした感じなんだけど、今はその反対でおっとりしてる感じなんだよな。
「じゃあ今日の稽古はこの辺で今日はあれがあるし」
「オクス様洗礼を楽しみにしてましたもんね」
「そうなんだよ!じゃあさっそく準備に取り掛かるからエーシャも手伝ってくれる?」
「はい、もちろんです!オクス様の晴れ舞台絶対に成功させて見せます!」
そうして二人は屋敷へと戻っていった。