ep.19 実践と検証
あの日から数日がたった後オクスはスイとレイに訓練場に来てもらっていた。
「何の御用ですか?」
先に口を開いたのはスイだ。
「実は二人のスキルについて気になってることがあって、二人のスキルの分かち別れずの共有の限界が知りたい」
「共有の限界って言われても使ったことないしなぁ」
レイは頭の後ろに手を回しそう言った。
「だからここに呼んだんだよ。嫌だったら別にいいんだけど」
「私達もこの力について気になってはいましたしちょうどいい機会かもしれません」
「そうだな。引き受けるぜ」
「ありがとう二人とも」
これで準備は整った。
「じゃあまず試してほしいのは『魔法』の共有だ」
「魔法の共有?」
「うん、二人は使える属性が違うでしょ。それが共有できるなら戦術の幅が広がるかなぁって」
「なるほど」
つまりやることはこう。属性を共有した状態になれるなら詠唱をすれば魔法が発動できるんじゃないかってこと。
「オクス様多分共有できました」
「わかった。ならこの紙に書いてある詠唱文を読んでくれる?」
そこに書かれているのは氷属性初級魔法『アイシクル』の詠唱文だ。
「やってみます!敵を貫け アイシクル!」
するとスイの手に氷の塊が生成され前へと飛び出していった。
「できましたー!」
「成功みたい。じゃあ、レイもこれやってみて」
「わかった」
書かれているのは水属性の初級魔法『ウォーターボール』だ。
「敵を撃ち抜け ウォーターボール」
そして、無事に成功する。
「凄い!」
オクスはそれに感心もした。きっと双子だからできる技なんだろう。
それからも検証は続いた。
「共有できるには、魔法、知識、技術、位置。それ以外はできないか、まだできないかってところかな」
位置の共有は画期的だ。上限がないとしたら二人はどんだけ離れていても会うことができる。疑似転移魔法といったところだろう。
ちなみに双子のものならば移動させることができるそうだ。それに俺が触れた状態でスキルを使ってもらったら俺も一緒に転移させられた。
「二人のスキルって思っていた以上に凄いのかも!これならお母様から一本取れるんじゃない」
「そうですかね⋯」
「どうも隙があるように見えないだよなぁ」
「お母様でも初見の攻撃は防げないはず。僕も一緒に戦うから明日やってみよう」
そして後日
「あら、ずいぶん今日はやる気ね」
「今日こそ三人でお母様に攻撃を当ててみせます!」
「楽しみね」
そう言って戦闘が始まると俺達は散開した。
(攻撃を当てるなら死角をつかないといけない。そうじゃないと結界に防がれる)
まずは俺が牽制
「敵を切り裂け ウィンドカッター」
そして、レイが氷魔法で足止めをする。
それにスイが魔法を当てると思っているだろう。
「おらよ!」
レイが何かを投げた。
「何かしら?」
そこの地面に突き刺さっていたのはボールペン。
ちょうどその瞬間スイの詠唱が終わった。
そして同時にスキル発動。
スイはファルの眼の前まで急に移動し
「ウォーターランス!」
超至近距離で魔法を立てたはずだった。
「流石に本能的にスキルを使っちゃったわ」
「なっ」
そこには無傷のままファルが立っていた。
「ご褒美に教えてあげる。私のスキルは現実改変事象を反転する力」
そう告げたあとオクス達の意識は魔法の波によって刈り取られた。
無傷の仕組みはですね。
攻撃というと行動を反転にして回復に変えられたわけですね。HPマックスのときに回復しても変化がないという現象が起きたわけです。




